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2001年に見た映画
「ダイナソー」(2001.01.16)
「エクソシストDC」(2001.01.16)
「タイタンA.E.」(2001.01.16)
「ロミオ・マスト・ダイ」(2001.01.16)
「レッド・プラネット」(2001.01.16)
「ミッション・トゥ・マーズ」(2001.01.16)
「ギャラクシー・クエスト」(2001.02.12)
「クリムゾン・リバー」(2001.02.25)
「キャスト・アウェイ」(2001.03.04)
2000年暮れに見た映画
「バトルロワイヤル」(2001.01.16)
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2001.01.16)
(オススメ度を押忍単位で図っています。最高5押忍)
キャスト・アウェイ(4押忍)
すばらしい。すばらしい映画です。何がいいって、オチがいい。静かな、静かな余韻に浸りたい。そんな映画です。ハリウッド映画にありがちな、端的な分かりやすさがないのもいい。ヨーロッパ映画のような、静かな感動とともに幕を下ろす、そんな映画。
ストーリーは極めて簡単。チャック(トム・ハンクス)はCMでおなじみの運送会社「フェデックス」の腕利き社員。恋人ケリーとの仲も順調だった。そんなある日、チャックの乗ったフェデックスの飛行機が事故で太平洋上に不時着。たった一人絶海の孤島に投げ出されたチャックのサバイバルが始まる。4年後、決死の脱出行ののち、チャックは懐かしいアメリカに舞い戻るのだが・・・。
時間に追われた現代人の生活を見直そうとか、そういう陳腐なテーマじゃないところがいい。「『生きる』とはどういうことか?」という壮大なテーマに、名手ロバート・ゼメキスが一つの解答を提示した、と。そんなところだろうか。決してハッピーエンドじゃないし、分かりにくいかもしれん(私にはメチャ明快だったけど)。こんな終わり方でええんか?!と思う人も多いだろう。事実、帰りしなのエレベーターのなかでは「面んなかった」「期待外れやった」という声もそこかしこで聞かれた。もっと分かりやすい映画を期待していた人には、なにこれ?というオチだっただろう。なんだかそういうところは「マグノリア」に似ているなあ。
島での生活で、チャックは絶望とともに生きることを選択する。日が昇り、沈む。そしてまた日が昇るだけの日々。生きるための営みだけの日々だったが、ある日、突然、希望が訪れる。希望への旅立ち、友(人間じゃないけど)との別れ。そして文明世界へ凱旋するが、そこに待ち受けていたのは、最愛の人の別れと、深い絶望だった。火も水も簡単に手に入るが、精神的には島での生活となんら変わるところはない。チャックは最後に手元に残った「希望」を手がかりに、再び歩きはじめるのだ。いいじゃないですか。「生きる」ってのは、そういうことだと思いますよ、間違いなく。
エンディングあたりのトム・ハンクスの演技が、実にすばらしい。間違いなく今年のアカデミー賞主演男優賞は、トム・ハンクスにあげていいだろう。たった10分程度の時間だが、言葉に出来ない存在感を示した。トム・ハンクスと言えば「フォレスト・ガンプ」「プライベート・ライアン」「グリーン・マイル」などの大作で知られる演技派俳優だけど、どうも僕にとってのトム・ハンクスは「ターナー&フーチ・素敵な相棒」なのだ。だから、どんなすごい映画に出ていても、なんだか無理してマジメな役を演じているみたいで、どれだけ彼が評価されても、嘘くさい感じがしていた。比較するのもアレだが、片岡鶴太郎が俳優をしているのとイメージがダブるのだ。アカデミー賞男優と片岡鶴太郎を比較するのも失礼な話だけど・・・。
そういう意味では、ロバート・ゼメキスもこの映画で一皮むけた感じがする。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でメジャーデビューして以来、「永遠に美しく」とか「ロジャー・ラビット」とかドタバタコメディ風の映画が多かったけど、ようやく本作で「脱皮」した感じがする。確かに「フォレスト・ガンプ」があったけど、あれも個人的にはドラマとしての完成度は低いと思うのですよ。なんだか冗長でさ。面白かったけど。
とりあえず見て下さい。この映画は、映画館で見なければいけません。終わったあとの余韻に浸って下さい。思う存分、浸って下さい。涙を誘うような感動ではないけど、胸に染み入る、静かな静かな感動に包まれるはずです。こんだけ評価しておいて、なんで5押忍じゃないのか?ということだけど、それはストーリーに衝撃がないから。これで衝撃的ななにかがあれば、間違いなく5押忍だったのだけれども、ストーリーが最後まで「読めて」しまったので、そういう観点から1押忍減点した。
クリムゾン・リバー(2押忍)
ん〜、期待が大きかっただけに・・・これでは・・・。
原作は500ページもある大作だという。それを2時間程度の映画にまとめそこなった感じ。作中のヴァンサン・カッセルじゃないけど「説明してくれよ!」と突っ込みたくなる。映画が終わってから、頭の中で復習しましたよ。「ミッション・インポッシブル」もこんな感じだったなあ。
やっぱり、見終わった後に「ん〜、どういうことなんかな」と考えなきゃいけないようではダメだと思うんですよ。リアルタイムで楽しめていないわけだし。映画は「入る」もんだし、「入らない」と全然楽しめないと思う。個人的には、楽しめない。これは、その典型なんですよ。リアルタイムではなんとなく分かるんだけど、パチッとはまるような分かり方じゃないんだな。やはりリアルタイムでパチッとはまってくれないと、特にこういう謎解きモノではキツイものがある。
ストーリーはそこそこ面白くて、原作がフランスで40万部売ったベストセラーというのもうなずける。ありがちな「悪魔信仰」オチじゃないのもよかった。ジャン・レノはやっぱりかっこいいし、ヴァンサン・カッセルも「ドーベルマン」の時より存在感があっていい。アクションシーンもそれなりにがんばっているし、映像も一貫したイメージが感じられた。ホラー、スリラー、サスペンス、アクションと盛りだくさんなのだけれども、空中分解していないあたりはやはり監督の手腕か。ただ、先に言った通り、謎解きの部分が「パチッ」と分からないので、見終わった後のスッキリ感がない。このスッキリ感がないと、面白さ半減、いや、8割減なのだなあ。
個人的には、ホラーの部分でもう1歩踏み込んでもヨカッタのではないかと思う。オープニングは痛い映像でドキドキしましたよ。あれはもう1歩踏み込んでもいいんじゃないかなあ。そこまでいかないあたりがフランス映画か。
ギャラクシー・クエスト(5超押忍)
いや〜、こりゃ面白い。
テアトル梅田で見たのだけれども、行ってみたら並んでる。整理券まで配ってた。しかもいくら休日とは言え、満席。なんで?トレックファンってこんなにおったんかいな、とかなり驚く。
ストーリーがそこそこ面白い。「ギャラクシー・クエスト」は18年前にテレビで放送された人気SF。いまだに絶大な人気を誇っており、各地でコスプレ大会が開かれている。当時の出演者らは、そうした会場でサイン会を開いたりして、過去の栄光にすがって生活している。出演者らの葛藤など知ってか知らずか、ファンの熱は一向に冷めそうもない。皮肉なものだ。そんなある日、会場にサーミアンと名乗るへんてこな一行が現れる。彼らは、「ギャラクシー・クエスト」の主人公、タガート艦長役を演じたジェイソン(ティム・アレン。「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤーの声優です。知ってる?)に「我々を助けて欲しい」と依頼するのだが・・・。
架空の物語を真実と信じ込んだ人が、架空のヒーローに助力を請うというストーリーは、そう珍しいものではない。しかし、この映画ではその手のストーリーを、実にうまく料理している。過去の栄光にすがって生きる出演者らが、現実の宇宙戦争に巻き込まれ、そこでヒーロー&ヒロインとしてのカガヤキを取り戻していく過程が、とてもうまく描かれていて、一気に惹き困れてしまった。元ネタはもちろん、アメリカのお化けSF「スター・トレック宇宙大作戦」なのだが、それを意識して見ると、ティム・アレンってなかなかカーク船長に似てる。そんな瑣末な話はさておいて、この映画、ただのパロディ映画ではありません。1本の映画として見ても、かなり面白い。B級にありがちな手抜きが一切感じられないし、特撮もリキが入っている。転送機で転送されるシーンは、笑っちゃうと同時に、おースゴイと思わず唸ってしまう。
キャストはコアな脇役ばっかりだけど、ヒロインだけはシガニー・ウィーバーと超豪華。最近はオバサン役が多かった(そりゃもう年だし)けど、ここでは珍しくコミカルでセクシーな役柄を演じています。そんなシガニー・ウィーバーが溶け込んでるほど、他の俳優が奮起していて、パロディ映画にありがちなキャラクターの希薄さは全くない。特筆すべきはサーミアンの一行で、出てくるだけで笑ってしまう・・・とにかく、一度御覧あれ。
ガハハと笑わせて、少しほろっとさせて、最後は満場の拍手で締めくくるという、上質エンターテイメントのお手本のような映画。トレックファンには当然、オススメだけど、あらゆるSFファンに勧めたい。トカゲ頭にかけて!
ダイナソー(1押忍)
6歳くらいの子供の情操教育に良さそうな映画だ。確かにCGでこんだけやれるというのは凄いけど、恐竜が笑ったりするのはおかしい。表情つけすぎで、違和感バリバリ。同じ恐竜映画でも、臨場感なら「ジュラシック・パーク」の方が数倍上だ。まあ、「ダイナソー」はディズニーなんでしゃあないか。序盤のいん石群が地球を襲うシーンが見もの。それだけ。
エクソシストDC(古典なので3押忍)
古さは否めない。最新のホラーには技術、展開ともに及ばない。ただ、かっちりとまとまった作り方や、奇をてらわず、スタンダードに徹したカメラアングル、ムダのないストーリー展開には感心。後世の手本となったと言われても、うなずける。時々サブリミナル効果を狙った映像が挿入されているのだが、これが結構、びっくりする。全体を通じて画面が醸し出す暗い暗い雰囲気も、なかなかいい。視覚に頼りすぎない、雰囲気で感じさせる「恐さ」を持っている点は、高く評価していいし、最近の特殊技術頼りのホラー映画に見習って欲しいところ。
タイタンA.E.(3押忍、ビデオ)
なんや、ハリウッドもこんなに面白いアニメが作れるんやないか。かなりいい。SFかくあるべし、スペースロマンかくあるべしというお手本のような映画。CGもこういう風にアニメと複合して活用すれば、こんなにいい感じに仕上がるんだなあと感心した。ストーリーはどっかでみたような気がするが、まあいいや。大作らしいまとまりかたをしていて、エンディングまで安心してみていられました。ヒロインがなかなかかわいらしくていいです。オススメ。
ロミオ・マスト・ダイ(1押忍、ビデオ)
広東語?のタイトルは「羅蜜歐必死」。ジェット・リーことリー・リン・チェイ主演のおバカアクション映画。リー・リン・チェイって知ってるのは「少林寺」や「阿羅漢」などの一連の少林寺シリーズを見てた人くらいだろう。長らく顔を見ないと思っていたら、ハリウッドに行ってたのね。名前もハリウッド的にジェット・リー。そんな安直な。
「マトリックス」ばりのワイヤーアクションと、「Xレイ・アクション」(キックが炸裂して骨が折れると、その部分がレントゲン写真みたいになって、骨が折れているのが視覚できる・・・ってそれじゃ「北斗の拳」やないか!)がB級マニアの心をくすぐります。ロードショー中にかなり見に行こうと思っていたが、結局、見に行けなかった。それで正解。金出して見る映画じゃないです。あまりの阿呆らしさに、笑ってしまうこと請け合い。
中国人マフィアと黒人マフィアの対立の中で、中国人マフィアのボスの次男が殺される。香港で服役中の長男(ジェット・リー)は、次男の敵を討つために脱獄して渡米。二つのグループの抗争の中に飛び込んでいく・・・というストーリー。だけど、ストーリーはどうでもいいと思う。見どころはリーのキテレツアクションだけ。嘘やろ!と思わず突っ込むワイヤーアクションシーンもなかなか楽しい。でも、それだけ。少林寺シリーズのころに比べれば、アクションの荒唐無稽さが圧倒的に落ちていて、あんまりオオッと思う場面はない。衰えたかな、リー・リン・チェイ。もともとこの人は、顔がコメディに似合う顔なので、こういうハードボイルドな役も似合わない。
レッド・プラネット(2押忍)
「ミッション・トゥ・マーズ」を映画館で見られなかったので、こっちは是が非でも見に行った。
ストーリーなし。宇宙のボーイ・ミーツ・ガール。「バットマンフォーエバー」で違和感バリバリのウェインを演じていたヴァル・キルマーと「マトリックス」のキャリー・アン・モスって、最近はそんな組み合わせがナウいんっすか?!と思わず突っ込みたくなる。
例によって、威勢よく宇宙に出たのはいいけど、次々にトラブルが襲いかかって、一人また一人と死んでいくサバイバル映画。もうこんなストーリーはあきあきした。そろそろ新手のストーリー展開を望む。救いは「火星でロケした」というくらい、リキの入った火星の再現シーン。確かに昔、教科書とか図鑑で見た火星はこんな感じだ!やった!!火星万歳!!きょうから僕も宇宙人!!と半ばヤケ気味に拍手したくなる。マーズ1号のデザインや、着陸船が火星に不時着するシーン、宇宙服のデザインなんかはすごくいいんですが。そういう細かいところでしか評価できないのは寂しいかぎり。監督のアントニー・ホフマンはナイキのCM製作などで手腕を振るう新進気鋭らしいが、どうも大画面を与えられてまとまりをつけられなかったように思う。次回作に期待しよう。
ミッション・トゥ・マーズ(4押忍、ビデオ)
同じ火星を舞台にした映画でも、「レッド・プラネット」よりもこちらの方が好き。一昔前の宇宙を舞台にした映画みたいな古くさい衣装や宇宙船のデザインがなんとも懐かしい気分にさせてくれます。ドラマ部分も、久しぶりにこういう「宇宙に希望あり」というのを見た気分。ゲイリー・シニーズってなんでそんなコアな俳優を・・・と思ってたけど、クライマックスで、ああ、この人ハマリ役やわと相づちを打ってしまいます。
「レッド・プラネット」を見た後に見たのだが、こちらの火星は明るい明るい。あんまり凹凸もないし、地面もやけにのっぺりしている。ただ単に舞台としての出来を比べれば「レッド〜」の方が上だけど、あちらは内容がないからな。こちらはストーリーの展開がやけにもたもたしているけど、もたもたした分だけ、最後の種明かしはすっきりさせてくれる。キャラクター設定も納得ができる。終わり方も気持ちがいい。映画は特撮ばかりが能ではないということを、改めて見せつけた一作品だと思う。いや、それでも十分に特撮してるけど。
個人的に、こういうの好きです。
バトル・ロワイヤル(5押忍)
原作を昨夏くらいに、ネット友達に「メチャおもろい」と薦められていたのだが、結局読まずに見た。見終わってから読んだが、個人的には映画の方がよかった。確かに映画だけでは、光子がなぜあれほど残虐になれるのか分からないが、分からなくてもいいように思う。分かったほうが面白いには違いないけど。
天下の朝日新聞の映画評欄で、「この映画は大人が子供に仕返しする映画だ」というようなことが書いてあったが、さすがは天下の朝日新聞。的外れなことを書いている(書いたのは評論家かも知れないが、その原稿を掲載したのは朝日新聞)。これは、子供が、大人が作りだした社会に挑戦する映画であり、現在の社会を作りだした大人が、自らの失敗を白状する映画だ。エンディング近くで、藤原竜也扮する主人公が「大人はみんな勝手だ」という内容のことを話すシーンがある。このシーンがあって、あのエンディングはカガヤキを増す。なんと希望にあふれた、感動的なエンディングだろうか(ネタバレになるので詳しくは書かない)。大人の告白、という点は最後のビートたけしのシーン。彼らの世代は社会を正しく導けず、その敗北の象徴がBR法だった。教師キタノは最後まで子供に勝てず、むしろ進んで屈服する。その屈服の仕方が、まあいかにもビートたけしらしくていい。
この映画、残虐シーンが国会でも問題になった。確かに残虐だ。かなり残虐です。でも、これがダメなら「スクリーム」シリーズも「ラストサマー」シリーズも、R15指定ですよ。あれだって一応、高校生だしさ。それに、この映画の残虐さは、決して残虐な行為を肯定的に書いているわけではない。むしろ、友人同士が疑心暗鬼になって殺し合うことが、いかに醜いか、いかに惨たらしいかということを強調している。一見、人を殺しまくってそうな川田は、実は銃を向けた生徒しか殺していない。確かに、なかには昨今のサイコ少年たちを彷彿とさせるキャラクターも出て来るけど、あれをみて「俺もやろう!」ってヤツが、どれくらいいるだろうか?こんな御時世だから、少なからずいるかもしれないが、それよりもむしろ「こんなのは嫌だな」と開眼する子供の方が多いはずだ。
前述したように、この映画は、子供たちが大人が作り出した(そして破綻した)社会に、挑戦する物語である。互いを殺し合うという特殊な状況で、主人公達は「戦い抜く」舞台は、もっと広いことに気がつく。そして、確かな武器を手にしながらも、まだそれを奮うことに躊躇いを覚えつつ、物語は幕を閉じる。なんて素敵な終わり方だろうか。
だからこそ、この映画はこれから社会に出ていく子供たちや、若い人に見てもらいたい。中学3年生なら、少しは分かるだろう。分からなくても、なにか感じるはずだ。R15指定なんてクソ食らえです。私が見に行ったとき、映画館は高田としては珍しく、3分の1くらい埋まっていた。ほとんど、高校生くらいの子供ばっかりだった。何かを感じ取ってくれればそれでいいと思う。この映画は、心に残る映画になるはずだ。
そして、今のどこかおかしい社会を作ってきた大人たちにも見て欲しい。この映画は、ある意味で大人の懺悔録のような趣がある。見て不快感を覚えるのが、正しい反応かも知れない。それは、残虐シーンのせいじゃないかもしれない。BR法を作りだしてしまった、大人の敗北が舞台背景の映画だからかもしれない。だが、この映画を正視するべきだ。この映画は、現代の日本を、ある意味でとても端的に切り取って作られていて、なおかつ非常に上質であるのだ。
万難を廃して見る映画。惜しむらくは、出演者のほとんどが「中3にしては老け過ぎじゃないか?」。それは言わない約束かも・・・。
ダンサー・イン・ザ・ダーク(3押忍)
この映画、どう評価すればいいのだろうか。例によって新聞の映画評では「涙なく見ることは不可能」というような類いの言葉で評価していたけど、正直なところ、思っていたほど泣けなかった。泣く前に気持ちが悪くなった。カメラワークがほぼ全編ハンディカメラによる撮影で、画面が人間の視点さながらに動く動く。「ブレア・ウイッチ・プロジェクト」で画面に酔ったという話を聞いたけど、私は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で酔いました。マジで吐きそうになった。途中でなんとか慣れたけど。
この映画、見終わってから時間が経つとじわじわ効いてくる、不思議な映画だ。主人公セルマのあまりにも健気な生き方は、映画を見ているその時こそ浮世離れしていて鬱陶しく感じるくらいだが、あとになってじわじわ効いてくるのだ、これが。リアルタイムでぐっときたのは、中盤の「もう見るべきものは全て見た」と歌い上げるミュージカルのシーンくらいだった。
この映画、至る所に「ヒント」がちりばめられている。見ていない人のために詳しく書かないが、まず、冒頭のシーンとエンドロールとの関係。作中で、セルマが「ミュージカルの最後の曲は聞かない。最後から二番目の曲を聞いて、劇場を出る」というセリフとの関係。巧妙に作り分けられたミュージカルシーンと通常のシーン、最初は夢想=ミュージカルシーン、現実=通常シーンとなっているが、やがてこの区別があいまいになっていき、なだれこむようにエンディングを迎える。その意味。
この映画、ただの薄幸な未婚の母の物語ではない。もっと巧妙に組み立てられた映画である。
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