
2001年に見た映画
「ドリヴン」(2001.09.06)
「アンブレイカブル」(2001.09.07)
「ザ・セル」(2001.09.08)
「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(2001.09.12)
「チャーリーズ・エンジェル」(2001.09.16)
「マルコヴィッチの穴」(2001.10.02)
「ヤマカシ」(2001.10.03)
「トゥームレイダー」(2001.10.23)
「陰陽師」(2001.10.24)
「トレーニングデイ」(2001.10.30)
「バトルフィールド・アース」(2001.11.11)
「ソードフィッシュ」(2001.11.11)
「マーシャル・ロー」(2001.11.11)
(オススメ度を押忍単位で図っています。最高5押忍)
「マーシャル・ロー」(3押忍・ビデオ)
原題は「THE
SIEGE」。「包囲」とかいう意味らしい。そうか?そんな映画だったかな?
サウジアラビアのアメリカ大使館が爆破されるテロ事件が発生する。アメリカのデヴロー将軍は、首謀者と見られるイスラム原理主義のリーダーを拉致し、アメリカへ連れ去った。イスラム原理主義の信奉者たちは、ニューヨークで爆破テロを開始。F.B.I.のハバード捜査官を筆頭とするチームが捜査にあたるが、犯行チームを発見するたびに次の犯行チームが現れ、テロは繰り返される。ついに大統領はニューヨークに戒厳令(マーシャル・ロー)を出した。デヴローの指揮する軍隊はアラブ系住民の多く住むブルックリンを包囲し、次々にアラブ人を逮捕していく。果たしてこれでテロは終結するのか・・・。
なんというタイムリーな映画。完成した時にも、ロードショー直前に確かどっかのアメリカ大使館が爆破されて、上映延期になった曰く付きの映画だ。作中では軍隊が片っ端からアラブ人をしょっぴいて、人種差別問題だ!と大規模な反対デモが起きる。軍に追われながらハバードが最後のテロ実行犯を発見して、事件は一段落するのだが。しかし。現実はそんなことになっていないだけに、なんだかへえ、ふーんとしか思えなかった。
そこそこ面白いのだが、どうもストーリー展開にメリハリがない。ラストには苦労したF.B.I.が軍を出し抜く大逆転劇も用意されているのだが、どの辺がヤマ場なのかよく分からないので、どうもインパクトが薄い。C.I.A.の鍛えた対サダム・フセイン工作要員が、皮肉にもアメリカに向かってテロを起こすという設定は面白かったが・・・。
せっかくデンゼル・ワシントンにブルース・ウィリスと豪華な顔合わせなんだから、もう少しなんとかしてほしかった。
「ソードフィッシュ」(2押忍・ネタばれあり)
「バトルフィールド・アース」ほどつまらないわけじゃないので、2押忍。期待していたのに、これではねえ。
80年代に連邦麻薬取締局が麻薬売買の資金ルートを探るために行った「ソードフィッシュ計画」。計画のために設立されたダミー会社は4億ドルという巨額の利益をあげ、そのまま銀行に封印された。約20年が経ち、利子とともにその金は95億ドルにもふくらんでいた。
そして現在。スタンリーはF.B.I.も一目置くスゴ腕ハッカー。かつてF.B.I.のサーバに侵入して逮捕され、投獄された。それがきっかけで離婚し、最愛の娘と会うこともできずにいる。ある日、ジンジャーという謎の女が現れ「ある人に会うだけで10万ドルやる」と言われる。親権を取り戻す裁判を続けるために金が必要なスタンリーは、ジンジャーに連れられてガブリエルというこれまた謎の男に会う。ガブリエルは「ソードフィッシュ計画」が残した95億ドルを盗みだす計画を立てていた。ガブリエルはスタンリーに巨額の金を積み、銀行のコンピューターに侵入するためのワーム製作を依頼。スタンリーはこれを引き受けるのだが・・・。
ストーリー展開はなかなかいい。まずいきなり、クライマックスからストーリーが始まる。開始早々にド派手な爆破シーンがあり、吹っ飛ばされたスタンリーが、ジンジャーと会った日のことを思い出すところからストーリーが流れ始める。よくある構成だが、いきなりヤマ場を持ってきていて、リズムには乗りやすい。
だが、ここからが問題。ストーリーのテンポが速すぎるのだ。いくら昨今、ストーリー展開が速くなっているとはいえ、これはあまりにも端折りすぎではないだろうか。上映前に少しパンフレット(注!このパンフレットはネタばれだらけである!一言くらい書いておいてくれ!)を読んでいたので何とかついていくことができたが、パンフレットをまったく読まずに見ていたら、何が何だか訳が分からなくなっていたと思う。映画だけでガブリエルの正体が分かるか?
一見、犯罪者グループのリーダーに見えるガブリエルだが、実はモサド(イスラエルの情報機関)の元スパイで、テロ国家撲滅のためにアメリカで活動している極右エージェントなのだ。テロ国家と戦争をするために、ガブリエルは95億ドルを手に入れようとする。「爆破テロをやった国には、核爆弾を食らわせてやる。二度とアメリカに向かってテロを起こそうという気にならないようにな」と、あまりにもタイムリーなセリフを吐くガブリエル。しかし、モサドの元エージェントが、なぜアメリカの極右組織のエージェントになっているのか?なぜ犯罪組織のリーダーになっているのか?彼の黒幕ある上院議員(これがまたサム・シェパードなんだな)を殺してしまって、彼はこれからどうやって活動を続けていくつもりなのか?とか、とにかく謎として残る部分が多過ぎる。
一応、ラストはドンデン返しがあるのだが、予想通りのドンデン返しなので、何とも思わない。なんだかラストはみんなハッピーになって、おらー!テロ野郎ども死ね死ね!!という終わり方に見えた。こんなんでええんか。
で、映像の方。しょっぱなのマルチカム・システム(「マトリックス」でやってた、キャラクターの周囲をカメラがすごい速さで周回する撮影方法)を使った爆破シーンは確かにすごい。しかし、ここだけなのである。すごいのはここだけで、あとは大したことはない。ラストのバスが宙釣りになるシーンも、バスの内部のシーンばかりで「実際に吊るされてますよ〜」とアピールするような場面がほとんどない。例えばスタンリーが窓の外を見ると、隣のビルがバッと迫ってくるとか、そういうシーンがほしかった。
監督は「60セカンズ」のドミニク・セナ。絵の撮り方が丁寧で、こういうアクションじゃなくてドラマやサスペンスを撮らせても巧そうな感じがした。ただ、アクションシーンはやや単調で、カーチェイスのシーンもイマイチだった。こういうスピード感のあるアクションは、もうジョン・ウー以上の撮影巧者は生まれないのか。どうやねん。
ガブリエル役には「バトルフィールド・アース」なんてクソ映画にも出ていたジョン・トラボルタ。本当は「パルプ・フィクション」のトラボルタって言いたいんだけど、あまりのクソっぷりが印象に強くて。まあ、いつも通りに名優です。ただ、今回はスタンリー役のヒュー・ジャックマン(「X-MEN」のウルヴァリン役)とジンジャー役のハル・ベリー(同じく「X-MEN」のストーム役。「フリントストーン・モダン石器時代」にも出ていた)の熱演ぶりの方が目に付く。特にヒュー・ジャックマンはさすがオーストラリアを代表する名優!と思わせる熱演ぶり。娘だけが生き甲斐のダメ野郎を生き生きと演じていて、とてもよかったです。毎回セクシー大爆発のハル・ベリーは今回も超ミニのブラ&パンティー姿(しかも色は黒だッ!)を披露。「フリントストーン」の時からいい女優だなあと思っていたけど、ここに来てグングン存在感をアピールしている感じがした。そろそろ主演作が見たいところ。
「X-MEN」コンビの熱演に2押忍。ストーリーはそこそこ面白いはずなのに、もうひとつ盛り上がりに欠ける。クライム・ムービーとしても、衝撃度がイマイチ。初っぱなの爆破シーンを見るために映画館に行く価値はあると思うが、パンフレットだけは先に読まないほうがいい。
「バトルフィールド・アース」(1押忍・ビデオ)
なんやねんこれ。取りつく島もない超ド腐れSF映画。映画館で見なくてよかった。
そのスケールの大きさから、長らく映画化不可能と言われたロン・ハバードの原作。しかし、映画化不可能ですか?これって確か今年の作品だと思うんですが、5年くらい前でも映画化できた感じ・・・。
圧倒的?な科学力を持つサイクロ人によって、地球はたった9分で征服されてしまった。それから??年。小さな村に住む青年ジョニーは、抑圧された生活に耐えきれず、旅に出る。都会に出たジョニーはあっさりとサイクロ人に捕まって、鉱物採掘のために奴隷にされてしまう。一方、サイクロ人司令隊長タールは、母星への栄転が取り消しになってご機嫌ななめ。母星に金(言うなれば裏金だ)を送ることで、なんとか地球生活から脱却しようとする。しかし、金鉱は放射能で汚染された地域にあり、放射能が苦手なサイクロ人は現場に行くことが出来ない。ジョニーの賢さに目をつけたタールは、ジョニーにサイクロ人の言葉や知識を教え、金鉱発掘の任務につかせるのだが・・・。
これはギャグなのか、マジなのか。ギャグで作っているのなら面白くないし、マジならばもっと面白くない。映画の中で、知識をはく奪された人間たちはサル並に退化しており、興奮するとすぐに「ホウ!ホウ!ホウ!ウッキー!!」と雄たけびを上げる。なかなか笑えるシーンなのだが、何度もやられるとハナにつく。サイクロ人は高い文化を持っている割には、非常に性悪な種族。タールは直近の部下でも騙すし、またその騙し方が泣けてくるほどしょうもない騙し方をするのだ。そのくせ「サイクロ人は約束を守る」と笑顔で言うあたり、やはりこの映画はギャグなのか。ちなみにサイクロ人、やたらと金に執着するのだが、その理由がまた泣けてくる。「息子がアカデミーに入ったから金がいる」とか「5人の妻と離婚して、もっと美しい妻をめとる」とか、ものすごく所帯じみている。ちなみにサイクロ星でも金は貴重品なんだろうか?
で、9分で地球を攻め落とした割には、文明を失った地球人に簡単にやられてしまうのだ。サイクロ人の飛行機は地球の戦闘機にバンバン撃ち落とされてしまうし、爆弾で吹っ飛ばされるし、揚げ句の果てには核爆弾を母星に持ち込まれてしまって、一族全滅(サイクロ人の呼気と放射能が反応して爆発するという設定なのだ)。結局はニューク万歳!ニュークマンセー映画かい!と激しく突っ込みたくなる。
ストーリーは何にもひねりがない。サイクロ人の知識を得たジョニーは策謀をめぐらし、母星を破壊して、地球にいるサイクロ人も一網打尽にする。最後にタールを捕らえ「もし他の征服地にいるサイクロ人が攻めてきたら、お前のミスが原因で母星が破壊されたと言う」とタールにすべての責任を押し付けてしまう。人間賢いぞ。
んで、特撮がすごいのかというと、そうでもない。「イベント・ホライゾン」程度だ。いや、それ以下かも。サイクロ人は人間よりデカイという設定なのだが、みんなすごい高いシークレットブーツ履いているんですけど・・・。あれもネタですか?
キャストもヘボヘボ。主演のバリー・ペッパーって誰やねん。悪い悪いタール役にジョン・トラボルタ。名前がわかる役者はこの人だけでした。一部でトラボルタの爽快な笑いが話題になっていたけど、これなら「陰陽師」の真田広之の方がいい。
いやー。面白くない。こんなに面白くない映画も久々に見た。
「トレーニングデイ」(3.5押忍・ネタバレあり)
面白くないことはないんだけど、とりたてて面白い訳ではない。今年のアカデミー賞候補らしいが、これなら「L.A.コンフィデンシャル」の方が面白いと思う。どこかで「『L.A.コンフィデンシャル』より面白い!」と書いてあったのを見たが、ほんまかいな。
交通課から志願して麻薬捜査課に異動したジェイク。赴任当日、先輩のアロンゾに連れられて街に出る。アロンゾは町中のギャング、麻薬の売人が一目置く、スゴ腕刑事だ。初めての職場で緊張するジェイクだが、アロンゾはとんだ悪徳刑事だった。任務中に酒は飲む、腹が立てばギャングを撃つ、犯人に暴力を振るう、家宅捜査のふりをして金を盗むとメチャクチャだ。「あなたのやっていることはおかしい」と指摘するジェイク。アロンゾは「正義を行うためには、悪業も必要だ。羊が狼を捕まえられるか?狼を捕まえるためには、狼になれ」と自分のような悪徳刑事になることを強要する。アロンゾに言われるままにマリファナを吸い、酒を飲み、アロンゾの盗みの片棒を担ぐジェイクだが・・・。
アロンゾのやることは、確かに悪いことだけど、あとでジェイクに語る言い訳を聞いていると、なるほどなと思うこともある。例えば麻薬のバイヤーの家宅を捜索して、金を盗む。その金を裏金にして、不当に逮捕令状を入手すると。まあ、万事こんな感じだ。だから、アロンゾが根っからの悪いやつなのか、それとも正義を貫くために悪事に手を染めているのか、判断が付きかねる。これが終盤まで分からない。終盤でようやく、アロンゾがどうしようもない悪人だということが分かって、へえと思うんだが。
この「へえ」と思うのが、どんでん返しだと思うんですよ。どんでん返しなら、もう少しドラマチックに盛り上げてほしいよなあ。この映画にはもう一ヶ所、どんでん返しがあって、ジェイクがアロンゾにハメられていたことが分かるんだけど、そこも全然盛り上がらないうちに、いきなりどんでん返しに突入してしまう。極めて自然な演出のなかで、こういうどんでん返しが語られてしまうのだ。全編、あまりドラマチックでない淡々とした映画なので、そういうドラマチックな演出は避けられたのかも知れない。
そういうサスペンスものではなく、いわゆるコップ・ムービーとして見れば、なかなか上質だと思う。極悪刑事アロンゾには、これまで「いい人役」が多かったデンゼル・ワシントン。今回は、とにかく悪いヤツ。この人、こんな悪役もできたなんてスゲエ!と感心する。しかもカッコいい。ジェイク役にはイーサン・ホーク。新人の戸惑いをうまく表しているんだけど、最終的にジェイクがアロンゾを否定して、正義を貫こうと決断したあたりがよく分からない。どこで、何をきっかけに決断したのか?かなり抜き差しならぬところまでアロンゾに追い詰められていたと思う。ジェイクは、正義を貫くためには、相当な決断を迫られていたはずだ。その辺が分かりにくくて、少しガッカリした。
全編に漂う緊迫感はなかなか。マリファナを吸ったジェイクの頭痛、銃口を突き付けられたときの重苦しい恐怖感まで体感できるみたい。アントニー・フュークワーの映画って初めて見たけど、いいね。撮るものを選ぶ監督だと思うけど・・・。
ソコソコなんだけど、ジェイクが正義か、悪かを選択する過程がわからなかった。この映画の中では、重要なポイントだと思う。映像、キャスティング、デンゼル・ワシントンの熱演で3.5押忍。もう少しストーリーに説得力があれば、4押忍越えていたはずだ。
「陰陽師」(甘めに見て2押忍)
先に結論を言ってしまうと、面白くない。邦画にありがちなテンポの悪さが鼻に付く。「ここはもっとスピーディーに」と思うところがタルい。監督は馬鹿面白い「コミック雑誌なんかいらない!」を撮った滝田洋一郎だが、年をとって毒気が抜けたか。ってまだそんな年じゃないと思うんだけど。
ストーリーは極めて単純。平安京の崩壊をたくらむ陰陽師・道尊。さまざまな手を使って、朝廷の転覆をたくらむ。これに対抗するのがスゴ腕陰陽師・安倍晴明。やがて道尊は朝廷に恨みを持つ早良親王の死霊を甦らせるが・・・。
途中でいろいろあるんだけど、そんなこたあどうでもいいと思う。どうしよう。何が面白くないって、一番大きいのは上で書いた「テンポの悪さ」に尽きるのだ。最初の方はまだいいんだが、祐姫が鬼になる辺りからがどうもタルい。タルい上に、くどい。自ら首を切って死んだ祐姫が博雅の胸の中でクドクドしゃべるシーンは「喉かっ切ったんじゃないの」と突っ込まざるを得ない。青音は早良親王の塚を守っているはずなのに、道尊が塚をぶっ壊している間も出てこない。そもそもの話をすれば、なぜ道尊が平安京の崩壊を企むのかが分からない。原作を読めば分かるのだろうが、映画は映画でひとつの作品なんだから、映画の中だけも分かるようにしてくれないと。
それに、道尊はあんなすごい力を持っているのなら、どうして最初から早良親王を復活させなかったのか?どうしてまず邪魔者の晴明を殺しに来ないのか?博雅は都の守護者なのに、何にもしてないような気がするんですが、気のせいですか?ご時世に配慮したのかもしれないが、もっと血がブーッと派手に飛び散ってもいいんじゃないでしょうか。邦画の特徴だと思うんですが・・・。
とにかく、テンポが悪いうえに、こういう納得いかない部分も大過ぎ。博雅が死んだときに晴明が大泣きするのだが、これもどうかなあ。人間としての晴明を描きたかったということらしいが、個人的にはダメだ。それまでのイメージぶち壊しで、統一感を著しく損なった。ラストも監督が考えた揚げ句のやりとりらしいけど、何かもうちょっと締め方はないものでしょうか。こんなラストでは、喜ぶのはやおい系のお姉さんたちだけだと思うのですが・・・。
エログロ極まったのが夢枕獏作品の魅力だと思うのだが、エロはできないとしても、グロが弱すぎ。もっとグログロにしてほしかった。
いいところを探すとすれば、キャラクターがしっかり立っていることか。安倍晴明には狂言師・野村萬斎。夢枕獏の書く「したたるような艶っぽい色気をたたえた男」は、おそらくこの人しかできないだろう。やや飄々としすぎている感じはあるが、この人以外にはできまい。ハマリ役だ。道尊(芦屋道満という陰陽師がいるので、おそらく道尊も芦屋道尊であろう)役には真田広之。これもはまっているんだが、あまりにもあっさりと早良親王に見捨てられて、お笑いキャラに成り下がってしまった。「ウハハ〜オホホ〜ミカド〜!」ってのも・・・まあいいけどさ。博雅役の伊藤英明もなかなかよかったです。3枚目っぷり大爆発で、好演だったと言えるでしょう。
問題は女性陣で、青音役の小泉今日子ってどうなんやろ。小泉今日子って、あんまり日本人顔じゃないと思う。それが白塗りで現れるわけで、確かに浮世離れした感じはするけど、化け物みたいです。あんまり「味方側のキャラクター」という感じはしない。それからちょい役の今井絵理子。いつも単調にニコニコしているだけで、どうもいかん。もう少し存在感を出しても良かったんじゃないですか。
ただ、夢枕獏の小説というのは、キャラクターが立っていて、キャラクター同士の対決でストーリーが進むと。言うなれば週間少年ジャンプ形式の小説なわけで。だから、キャラクターが立っているのは当然なのだ。これがなかったら、なんもなかったわけですよ。特撮もよくがんばっているとは思うけど、どうして日本人がやると、こうもウソくさくなるのかなあ。もうどうしようもないなあ。
原作は岡野玲子がコミック化して、手塚治虫賞もとった。若い女性に圧倒的な人気を誇るらしい。会場も若い女性でいっぱいだった。私は指定席で見たが、一般席は満席に近かった。晴明大泣きのシーンで、グスッグスッともらい泣く声が・・・。泣くシーンですか?
キャラが立っていたというところ以外、あまり見るべきところがない。特撮もすごいことはすごいが、インパクトに残るほどではない。ストーリーもヒネリがなくて・・・。甘めに見て2押忍やる。映画館では見なくてもいいと思う。
「トゥームレイダー」(4押忍)
「インディー・ジョンズ」が製作されてから、一体いくつの「インディー・ジョーンズもどき」が作られてきただろうか。「ロマンシングストーン」、「ハムナプトラ」シリーズみたいなモロ直系の映画は言うまでもなく、秘境探検系の映画は山ほど作られてきた。そして、そのいずれも「インディー・ジョーンズ」を越えることはできなかった。「失われたアーク」がすごい映画だったので仕方ないのかもしれないが。
で、おそらく「インディ・ジョーンズ」の直系にあると言ってもいいだろう「トゥームレイダー」。やっと、この系統の映画が21世紀に突入した感じがする。目的とする秘宝が「時間を支配する力」というのがスケールが大きくてイイ。カンボジア〜ヴェニス〜シベリアと世界を股にかけるスケールというのも大風呂敷広げすぎてていい感じだ。
そして、もっとも大きな変化として捉えられるのが(言うまでもないけど)主人公が女性に変わったこと。ただ、単に女性に変わっただけではない。ジョーンズ博士が汗臭いタフガイだったのに対し、こちらの主人公ララ・クロフトは実に魅力的。巨乳の女性だからというだけではない。ジョーンズ博士は、普段は大学で教鞭をとる冴えない教官だが、ララ・クロフトは普段からアヤシイ。表向きは報道写真家という肩書きで通しているが、本当は腕ッききのトレジャーハンター。普段から巨乳を激しくアピールするようなTシャツでどこにでも出かけるし、スーパーカーやバイクは派手に乗り回すし、おまけに英国貴族で大金持ち。そんでもって王立空軍にコネがあって、ファザコン。目線にやたらと力があり(アンジェリーナ・ジョリーもやりすぎとちゃうか)、恐い。まあ、とにかく漫画チックでよろしい。こういうアクション映画には、こんな破天荒なキャラクターがよく似合う。
物語にはなんのひねりもない。時間を支配する力を秘めた秘石をめぐって、ララ・クロフトと秘密結社が世界を股にかけて大暴れ。果たしてララは父親の遺志を継ぎ、秘密結社の野望を打ち砕くことができるか?!
ヴェニスのシーン、シベリア(撮影地はアイスランド)、カンボジア(本当にアンコール・ワットまで行ったらしい)のシーン、いずれも非常に映像は美しい。サイモン・ウエストって「コン・エアー」と「将軍の娘」だけど、こんなにきれいな絵を撮れる人だったんだなと再認識。それぞれの屋内、洞窟内、寺院内のセットもとてもいい。アンコール・ワットの寺院のシーンなんかは、もういかにも「ゲームです」というハチャメチャさで、いい意味で笑える。
ただ、折角あちこち行っているのに、ド派手なドンパチはいずれも屋内シーンばかり。確かにアンコール・ワットでドンパチはできないかもしれないが、もう少し「屋外でもがんばってみました」ってのを見せて欲しかったな。
アクションシーンはどこをとっても超一流。アンジェリーナ・ジョリーの身体をはったスタントに拍手喝采だ。アンジェリーナ・ジョリーって「60セカンド」しか知らないんだけど、こういうタフ・ウーマンの役柄にバッチリ合う。合いすぎ。バイクに乗ってジャンプしながら、マシンガンをぶっ放すシーンなんかは最高だ。屋敷内で秘密結社の突入部隊とやりあうシーンは、ぜひとも映画館で見たいところ。また、本人がいかにも楽しそうにララ役を演じていて、見ている方としてはとても感情移入しやすかった。顔がド派手なつくり(力のある瞳、デカイ鼻、そしてあの肉厚の唇!)のせいか、表情がとても変化に富んだ人で、そういう意味でもこの映画ではハマリ役だ。
悪役もとにかく悪く、分かりやすくていい。イアン・グレンって「愛は霧の彼方に」に出ていたらしいが、記憶に無いなあ。
また、この映画はサントラにも注目して欲しい。U2、ケミカル・ブラザーズ、ファットボーイ・スリムなど参加アーチストが豪華すぎる。いずれも各シーンをこれでもか!というくらい盛り上げてくれていて、超ノリノリのうちに1時間41分が終わる。
「ストリートファイター」にしろ「スーパーマリオ」にしろ、ゲームの映画化は大抵失敗するもんだけど、これは成功。「インディー・ジョーンズ」と「ミッション・インポッシブル」を合わせて、アンジェリーナ・ジョリーで割ったような映画だ。アンジェリーナ・ジョリーという最高の主人公を得て、「トゥームレイダー」は「インディー・ジョーンズ」の直系にありながら、ようやく「インディー・ジョーンズ」を越えたと言っていいだろう。とにかく肩の力を抜いて、楽しく見ることが出来る。終わった後にアンジェリーナ・ジョリー風にグッと回りを見回したくなってしまう。こういう風に、終わった後に思わず映画のキャラクターの真似をしたくなる映画は、間違いなくいい映画だったと思う。
終わった後に何にも残らないという意味で、1押忍減点。それでも限りなく5押忍に近い4押忍だ。
「ヤマカシ」(1押忍・ネタバレあり)
やっちまったよベッソン君。「キス・オブ・ザ・ドラゴン」と並ぶヨーロッパ・コープ配給第一弾。ちなみにこれも監督はベッソン本人ではなく、アリエル・ゼトゥンという人。原案、脚本がベッソンだ。そして、だ。やっちまったのだよ、ベッソン君。俺っちはこういうのを一番、心配していたのだが・・・。
マンションの壁面を、ザイルも何も使わずに登るストリート・パフォーマンス集団「ヤマカシ」。子供たちはそのカッコ良さにあこがれ、警察は彼らを迷惑だと思っている。「ヤマカシ」を構成するのは、アフリカ系とアジア系の7人の若者。いずれも貧民層の出身だ。ある日、ヤマカシごっこをしていた子供が、木から転落。緊急手術が必要になるが、家族には金がない。「ヤマカシ」のメンバーたちは、特技を生かして金持ちの住宅に侵入し、手術代を盗み出す計画を立てるが・・・。
もうストーリーはめちゃめちゃだ。なぜ木から落ちたくらいで心臓移植が必要になる?なぜ24時間以内に移植が必要なのか?金持ちから金品を盗みだすというあたりは日本の「ねずみ小僧」そのままなのだが、その前にお前ら、正体バレバレやっちゅうねん!たかが7人を逮捕するために大量の警察が出動してくるあたりは「レオン」のクライマックスとかぶってて笑えた。
もう1度言う。ストーリーはめちゃくちゃだ。キャラクターに何の思い入れも出来ないうちに、終わってしまう。この映画は、ヤマカシのメンバーたちの華麗なパフォーマンスを楽しむ映画なんだろう。確かにすごいし、かっこいい。生身の人間が「マトリックス」も真っ青のビル間ジャンプをやってのけちまうんですぜ。金持ちの邸宅の中で、ドーベルマンと追いかけっこをするシーンがあるが、ここもなかなかの迫力。だが。
せっかくこれだけのパフォーマンスができながら、なぜエンディングはああなんだろう。ラストで追い詰められたヤマカシは、金品だけを友人に預け、警察に投降してしまうのだ。で、これまた友人の刑事が一肌脱いで、めでたく釈放となるのだが、なあ。観客はヤマカシがどんなウルトラCをやって窮地を脱出するかを期待しているのに、こんなんはないでしょう。ぶち壊しですよ。
フランスでは、どうやらある種の階級があるらしい。生粋のフランス人が最上位で、アラブ系やアフリカ系、アジア系の移民の2世や3世は、低くみられているようだ。この映画の根底に流れるテーマは、このフランスの階級社会に対する挑戦。アフリカ系、アジア系で構成されるヤマカシは、フランス人の医者や大臣の屋敷に侵入し、金品を鮮やかにかっさらう。言うなればこれはフランス版「ねずみ小僧次郎吉」であり、同「七人の侍」なのだろう。事実、スタッフやキャストらは、撮影に入る前に「七人の侍」を見たらしい。作中でも「日本では『七人の侍』というのがあって・・・」という下りがある。
だが、そんなことが分かったからってなんだ?そんなことでこの映画のつまらなさが何か解消されるか?エンディングの消化不良ぶりが解消されるか?いや、なにも変わらない!おそれていたことが、さっそく起こった。ベッソン君の「ボクチンの作りたいもの作っちゃった」病だ。これは、ベッソン君のオナニー作品以外の何者でもないのだ。これだけ言うたら十分だろう。ヤマカシのパフォーマンスに1押忍やる。それだけ。
「マルコヴィッチの穴」(4押忍・ビデオ)
恐いと言えば恐いが、恐くないと言えば恐くない。笑えると言えば笑えるけど、笑えないと言えば笑えない。そんなアヤシイ雰囲気の映画。
売れないパペット遣いのクレイグは、生活のためにファイル管理会社に就職。そこは、7と1/2階という、中途半端なスペースに作られた会社だった。やたらとエロエロの社長、年寄りのくせにやたらとエロい女重役らがいる、変な会社だ。そこでクレイグは、自分が作った人形にそっくりのマキシンという女性と出会う。強くマキシンに魅かれるクレイグ。ロティという妻がありながら、クレイグはマキシンに激しくアタックする。しかし、まったく相手にされなかった。そんなある日、クレイグは会社で不思議な扉を発見する。そこに入ると、なんと俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に、15分だけ入ることが出来た。マキシンとクレイグは、この扉を使って商売を始めるのだが・・・。
とにかくアヤシイ映画だ。「他人になることができれば」という変身願望をテーマにした映画なのだが、とにかく出てくるキャラクターがみんな変。人形劇の世界の中でしか自己実現できないクレイグ。そんなクレイグを愛しながらも、なにか満たされないロティ。己の欲望の赴くままに生きるマキシン。ここに俳優マルコヴィッチが加わって、不気味というか、なんとも言えない不思議な四角関係が築かれる。マルコヴィッチの中に入ることでマキシンへの熱い思いを達しようとするクレイグとロティ。この2人にいいように身体を使われてしまうマルコヴィッチ。この関係がどうなっていくのかが、映画の主なストーリーなのだが、結末は少し恐い。恐いと同時に、あまりの浅ましさに少し笑える。基本的に全編、そんな感じなのだ。少し恐くて、少し笑えて。雰囲気が統一されていて、とてもインパクトに残る映画だった。
ジョン・マルコヴィッチと言えば「ジャンヌ・ダルク」の国王役など、いろんな映画で個性的なチョイ役をやっている俳優。この映画を見ていると、実に名優であることがよくわかる。さまざまな人間に頭の中を支配され、人格が変わる様子を「おおー」っと思わせるくらい上手に演じている。こういう役はジム・キャリーも得意かも知れないが、彼のように顔芸で演じわけていない分だけ、うまい。ちなみにロティ役にはキャメロン・ディアス。髪の毛ボサボサの疲れた主婦を演じているが、これがハマリ役。マルコヴィッチの穴に入って、人生が変わっていく様子を、こちらもうまく演じている。これまではグラビアクイーンから抜け出せないような役柄が多かったが、これは違う。なかなかの演技派であることが分かった。収穫。
あまり万人受けする映画だとは思わない。が、少し毛色の違う映画が見たいなというときにはいいかも知れない。個人的にはマニアックな配役、面白い舞台設定、ブラックな結末に高い評価を与えたいと思う。そういうわけで4押忍。
「チャーリーズ・エンジェル」(4押忍・ビデオ)
タハハ・・・。あまりにもバカすぎる。バカバカ大バカアクション映画。でもなかなかいいぞ。
アメリカのテレビシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」の映画版。誘拐されたエンジニアを救い出す指令を受けたディラン、アレックス、ナタリーの美人3人組「エンジェルズ」。無事にエンジニアを救い出すが、真犯人と思っていた人物は、実は犯人ではなかった。巧妙な?罠にはめられた3人のエンジェルに、危機が迫る・・・!
ストーリーもなおざりにされてなくていい。二転三転のどんでんがえしはないが、それなりに面白い。3人それぞれの恋愛模様をうまくアクセントに使っているのもいい。ワイヤーアクションも荒唐無稽ぶりを盛り上げるいい材料になっている。あっという間に終わってしまって「なんじゃい、もう終わり?」と少し物足りなさも感じるが、まあいいか。あれ以上、ごちゃごちゃやられたら、逆に食傷気味になっていたかもしれない。
なによりもいいのは、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー(「アリーmyラブ」に出てる人)の3人が、実に楽しそうにエンジェルを演じていること。キャメロン・ディアスの古くさいダンスシーンを始め、とにかく出演者がみんな、楽しそうに役柄を演じているので、見ている方もつられて楽しくなってしまう。ここに唯一の男性キャラ、ビル・マーレー(「ゴーストバスターズ」ね)がさらに楽しそうに加わって、とてもいい雰囲気だ。
内容は漫画そのもので、無茶苦茶なアクションはやるわ、すぐに絶体絶命に陥るわ、下ネタはバンバン飛びだすわで、肩が凝らなくていい。呑気に見ていられる映画で、ケチを付ける点を探すのが難しい。あえて言えば、中身がなんにもないことか。そういうわけで4押忍。
ちなみにキャメロン・ディアス、えらい痩せたなあ。「マスク」や「メリーに首ったけ」のころはもっとポッチャリして、グラマラスだったのに。今回のアクションをこなすためとか、ヘソ出しシーンが多いのでとか、理由はいろいろあるだろうが、ちょっとやせ過ぎのように思う。すごくキュートな女優だったのに、やせたせいでオバチャンみたいにしわくちゃになってしまった。ガッカリ。もしかしたら、ドリュー・バリモアとかルーシー・リューとか、ちょっと色物っぽい女優をそろえたので、それに合わせたのかも知れない。だとしたらえらい計算高いが・・・。
「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(3押忍)
ジェット・リー最新作。リュック・ベッソン製作で「リアルなファイトを前面に押し出した映画」と言われては、なにかを期待せずにはいられない。その期待を裏切らない上質な格闘アクション映画。大作感は感じないが、きちんとまとまっていて安心して見ることができる作品だ。
中国警察のリュウ(リー)は麻薬王を追って、パリへ。麻薬王がパリで仲介人と接触する現場を押さえることが目的だ。パリ警察側の責任者は、リチャードという胡散臭い警部。しかし、リュウの目の前で麻薬王が殺されるという不測の事態が発生。実は、リチャードこそパリにおける麻薬の仲介人だったのだ。リチャードに麻薬王殺害のぬれぎぬを着せられたリュウは、事態を切り開くために拳ひとつでリチャードに立ち向かう。
とまあ、往年のブルース・リー映画を彷彿とさせるようなストーリーだ。実際にラスト近くで警察署に乱入するシーンは、ブルース・リーに対するオマージュを感じた(リーはパンフレットで「あれは高倉健の仁侠映画を意識した」と話しているが)。とにかく、格闘以外のアクションを潔いくらいにすべて削ぎ去った映画。リーはカーアクションもしなければ、ガンアクションもしない。とにかくひたすら蹴って蹴って蹴りまくり、殴って殴って殴り倒す。まずはホテルの洗濯室でひと暴れし、続いて観光客船の甲板上で大奮闘。一息ついたかと思えば、チップス屋の店内で大男相手に大立ち回りを演じ、その勢いで孤児院に突入してまたひと暴れ。ラストは警察署に乱入して、獅子奮迅の大活躍。まあこれが爽快なことこのうえない。リーの活躍を引き立てるのが、リチャード役のチェッキー・カリョ。ベッソン映画の常連だが、徹底的に悪いヤツを演じきって、リーの奮闘ぶりを際立たせてくれている。
リーの徹底した生身のアクションには感心させられるし、アクセント(というか、エンディングに向けてかなり重要なアイテムになる)として使っている鍼もなかなか面白くていい。
リーのトラブルをややこしくしてくれる娼婦ジェシカ役にブリジット・フォンダ。ベッソンはすぐに「無垢な、純粋な魂」を描きたがる人だが、今回はこのジェシカがその役。鼻についてイヤなのだが、ベッソン色と思えばしょうがないか。しかし、ベッソンって本当にこういうややヒステリックで小悪魔的で、なおかつ(良くも悪くも)悪気のない女性が好きなんだな。「ニキータ」もそうだし「レオン」も然り。「フィフス・エレメント」はもう典型的で、エエ加減にせえと言いたくなるのが「ジャンヌ・ダルク」。たまには違うタイプの女性キャラクターを描いてみたらどうでしょう。いや、ホント。
ちなみに今回の監督は、CM・短編映画製作で名を揚げた若手監督クリス・ナオン。ベッソンという強力な先輩を後ろ盾に、見事にベッソン・ワールドを作りだして見せた。ただ、ほとんどこの人の個性は、この映画では感じられず。ただの物真似監督で終わるか、強烈な自己主張が出来る監督になるか。絵の撮り方はなかなかうまい。次回作にも期待したい。あと、この作品はベッソンが作ったヨーロッパ・コープという映画会社の製作・配給第一弾。ヨーロッパ・コープは「ハリウッドではなく、フランスに映画の中心を」と設立された会社で、今回の作品にも、その意気込みは見てとれる。
ただ心配なのは、ベッソンは基本的に「自分の作りたいモノを作る」人であって、たまたま今回はそれが個人的に当たったのかも知れない。「ジャンヌ・ダルク」なんかは、ベッソンの独りよがりが鼻について、どうしようもない作品だった。今後もヨーロッパ・コープが「観る人を意識した映画」を作り続けていくかどうか、その辺にも注目だ。
「ザ・セル」(2押忍・ビデオ)
ストーリーが陳腐だなあ。なんかヒネリはないんかい。エンディングも誤魔化されたみたいでガックリ。まあいいか。これはストーリーをどうのこうのいう映画じゃなくて、映像を見て楽しむ映画だ。そういう観点から評価しよう。
猟奇犯罪者の心理世界を、まずまずうまく表現できているとは思う。暗い、不気味な雰囲気はいい。ただし、最初だけ。最初にジェニファー・ロペスがカールの心に入る部分は、なかなかいいんです。しかし、ほとんどのシーンが予告編で出ているんだよなあ。まずはそれが残念。展覧会の部分は結構、恐くていいんだけど・・・。これをぶち壊してくれるのが、カールの「神」の初出のシーン。最初は圧巻でいいのに、そのあとバカデカイ声で叫ぶセリフが「どこから来たあ!」ってなんやねんそれ!そんな現実的なセリフを吐くな!!
これ以降は、もうあまり予想を越えるようなシーンはない。カールは意外にアッサリとジェニファーに籠絡されてしまうし、ねえ。ラストのジェニファーの心の世界には笑ったよ。20年前の日本の少女漫画でもモデルにしたんッスか?ヘンです。
見どころは最初の45分と、あとはジェニファー・ロペスのハラショー!な腰つきだけ。ごく最初の方に出てくる、スキャンティーにシャツ1枚という出で立ちは刺激度2500%。そのままの格好で、もっとウロウロしてほしかった。そういうわけで2押忍。
「アンブレイカブル」(3押忍・ビデオ)
「シックス・センス」を撮ったM・N・シャマラン監督の最新作。ようやく見た。
結論から先に言うと「確かにショッキングな結末だが、違う意味でショッキング。こんなエンディングを期待していたわけではない」ということになろうか。最初は「実はブルース・ウィリスはコミックの登場人物で、この映画はイライジャが読んでいる『セキュリティー・マン』の第一話なんですよ」というオチだと思ってみていた。かなりてれくさした展開で、いつになったらオチがつくのかとイライラしだしたら、ようやく話が佳境に入り、それみたことかと思ったら、違う意味でどんでん返しが待っていた。そんな感じ。
「シックス・センス」は、途中でなんとなくオチが分かって(オスメント君が「いつも見えているんだ・・・」というシーンで)しまって、ラストの衝撃はもうひとつだったんだけど、こちらは最後までオチが分からなかった。つーか、分かるか!あんなオチ。オチとしては2流な気がする。「シックス〜」が観衆の観点を根底から覆すようなオチだったのに対し、こちらはあくまでもストーリーの中で完結するオチ。観衆の観点や、観衆の思い込みが覆されるようなオチではない。確かに、毎回毎回根底から覆すようなオチを続けるのは難しいだろう。が、「シックス〜」はなかなか良かったなあ、と思って見た人にとっては、これはないんじゃないか。「ミスター・グラァス」とかうれしそうに言われても、なんじゃいそりゃ!と突っ込みたくなるよ。
クドクド続けるが、あのオチでは、作品全編に漂う違和感、不安感が完結しない。あれなら、もう少し作品全編の雰囲気をスッキリさせてくれても良かったんじゃないか。なんだか意味あり気に引っ張られて、揚げ句の果てにアレでは、振り上げた拳の降ろしどころがない気分だ。まあ、これがシャマランの作風なのかもしれない。どんな映画を撮っても、こういう違和感、不安感が漂う絵になってしまう人なのかもしれない(キューブリックがそうだったようにね)。
オチの肩透かしっぷりを考慮しなければ、まずまずいい線行ってると思う。映像も美しく、雰囲気も統一されている。ややスローテンポが鼻につくが、ストーリーも悪い意味での緩みがない。なんだかアヤシいブルース・ウィリスの演技もグー。音楽の盛り上げ方も良かった。「シックス・センス」を見ずにこれを見ていたら、間違いなく4押忍以上を付けていただろう。しかし、だ。「シックス・センス」を見た後では、これでは納得できないよシャマラン君。と不満を感じざるを得ない。その分、評価は厳しく3押忍まで落とした。
「シックス・センス」を見ていない人にはオススメ。見た人は期待を完全にかなぐり捨てて、まったく関係のない作品として見よう。メチャ難しいことだとは思うが・・・。
「ドリヴン」(2押忍)
脚本シルベスター・スタローンと聞いたときから大体、こういう映画だろうと想像していたが、想像通りだった。いや、想像していたのより少し下。衰えたかな、スタローン。お兄さん悲しいよ。
カートの世界に新星ジミー・ブライが現れたところからストーリーは始まる。若きブライは、ベテランドライバーのブランデンバーグと激烈なトップ争いを繰り広げるが、プレッシャーからスランプに。困ったチームの監督・カールは、往年の敏腕ドライバー・ジョーを現場に呼び戻す。最初はジョーに反発していたジミーだが、やがてジョーと心を通わせ始める。チャンピオンの座を目指して、ジミーとジョーの二人三脚の闘いが始まる・・・!
と、まあ分かりやすいことこのうえない。途中で大きなトラブルがあったり、恋の三角関係があったりして、ジミーは挫折を味わう。しかし、ジョーの励ましで再び立ち上がり、ハンドルを取る。ああ、なんて分かりやすいんだ。いや、いいんだけどさ。この分かりやすさがスタローン映画の魅力であり、なーんも考えずにハラハラドキドキできるんで、肩が凝らなくてよろしい。よろしいのだが。
今回の場合、各キャラクターがさまざまなジレンマを感じている。それが、ストーリーの中でチラ、チラと出てくるのだが、出てき方が中途半端過ぎて、気になって仕方がない。例えば、ジョーはかつてブランデンバーグのライバルだったが、大きな事故を起こして隠居してしまった(らしい)。その際、付き合っていた彼女を捨ててしまった(らしい)。そして、今はかつてのチームメイトの妻になった彼女に、まだ未練がある(らしい)。彼が再びハンドルを握るのは、逃げ切れない恐怖感から立ち直るため(らしい)。すべて「らしい」と書いたのは、どうやらそうらしいとしか分からないからだ。これ以外にも、かつての大事故の当事者は、ジョーとブランデンバーグ(らしい)、ブランデンバーグはその時の恐怖感から見事に立ち直った(らしい)、ジミーはマネージャーである自分の兄貴にプレッシャーを感じている(らしい)など、「らしい」が多過ぎて、ストーリーが空中分解しかけている。完全に空中分解していないのは、それぞれの「らしい」を、一切説明していないから。これがいいのか悪いのか。個人的には悪いと思う。
せめて、ブランデンバーグとジョーの過去になにがあったか、そのころにジョーがどんなにイヤなヤツだったかというのを描いてくれないと、ジョーというキャラクターに感情移入できないし、ストーリーにも没頭できない。なぜ一線を退いたジョーが、自分以外の人間のために現役に復帰するのか?その心理が明らかになれば、この映画は随分と引き締まっていただろうし、ジミーの成長物語としても、説得力のあるものになっていたはずだ。
それ以外にも不満はある。ちょっとストーリーが飛び過ぎじゃないかと思う。あまりにも人間関係がすっ飛ばしすぎで、どのキャラクターにも感情移入できないまま、どの人間関係にも納得が行かないままに終わってしまった。これでは、出てくるキャラクターみんなが変人に思えてしまう。上映時間を長くしてもいいから、もう少しドラマ部分をしっかり作って欲しかった。
で、ドラマ部分がダメなら、肝心のレース部分はいいのか。これも少し判断に困るのだ。確かに迫力はあるのだが、うおっと思わせるほどの迫力ではない。なんだかすごく中途半端で、消化不良なのだ。スローモーションを多用したりして、工夫しているのは分かる。CGくささも我慢しよう。それを考慮しても、わあ、やったと思わせるほどのものではない。さすがにラストのブランデンバーグとジミーの対決シーンは手に汗握ったが、それ以前のドラマ部分(出走車中、最後方から2位まで追い上げるという非常識ぶり)で醒めてしまって、どうしても、一線を越える興奮を得られなかった。
このドラマ部分の失敗で、とにかく見ている最中に突然、醒めてしまうシーンが多かった。クラッシュしたチームメイトを救うために、コースを逆走して現場に駆けつけるジミー(そんなんプロとして失格やろ)、それを救援しに行くブランデンバーグ(おまえもプロ失格や)、メタノールがぼうぼうと真っ赤な炎をあげて燃えたり(メタノールは燃えても赤い色にならない)、カートマシンで町中を疾走したり(このシーン、見せ場のはずなんだが醒めてしまった。なんだか違和感バリバリで、カートマシンでやる意味を感じなかった)。頭の悪そうなエステラ・ウォーレンはあまりにも尻軽く男を変え、かつてのジョーの恋人・キャシーはアブナいストーカーに見える。せっかくバート・レイノルズがカール役をやっていて、これまたすさまじくトラウマを抱えてそうな人物なのに、その辺はまったく描かれていない。とにかくこういう、悪い意味で引っ掛かるシーンが多過ぎる。いかんよ、レニー・ハーリン君!
いっそのこと、スタローンがメガホンを取れば良かったのではないか。アクション一辺倒のレニー・ハーリンと違って、もう少しうまくやったと思うのだが・・・。結論。どうでもいい。なんで2押忍もつけたのか、自分でも分からん。見なくてもいいと思う。
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