
2001年に見た映画
「ハンニバル」(2001.04.17)
「グラディエーター」(2001.04.17)
「ストレイト・ストーリー」(2001.04.18)
「スターリングラード」(2001.05.09)
「メトロポリス」(2001.05.29)
「JSA」(2001.05.29)
「ハムナプトラ2黄金のピラミッド」(2001.06.14)
「グリーンデスティニー」(2001.07.04)
「A.I.」(2001.07.16)
「パールハーバー」(2001.07.20)
「THE PLANET OF THE APES」(2001.08.02)
「千と千尋の神隠し」(2001.08.02)
「ライトスタッフ」(2001.08.09)
「ジュラシックパーク3」(2001.08.11)
2001年3月までの映画評
(オススメ度を押忍単位で図っています。最高5押忍)
「ジュラシックパーク3」(4押忍)
どひゃー。すっげえバカ映画。あまりのバカさに、大笑いしてしまう。
1作目は科学の進化を盲信する人間の愚かさを描いた。2作目は、危険でさえも商売に使おうとする人間の愚かさを描いた。いずれも人間の愚かさを描いたところは一緒だが、観点は微妙に違う。今回は、人間の愚かさを描いたのではなく、愚かな人間を描いている。分かるかなあ、このニュアンスの違い。字面はそっくりだが、中身は全然違う。人間の愚かさはドラマになりうるが、愚かな人間は喜劇以外の何者にもなりえない。ガクッ。
1作目の主人公、グラント博士が主人公。相変わらずグラントは化石発掘の仕事を続けているが、彼の研究に対する世間の関心は薄く、資金繰りの苦しい毎日を送っている。そんなある日、大会社の社長カービー夫妻がグラントの前に現れ、「恐竜の住むソルナ島(パート2の舞台となった島)を案内してくれたら、巨額の資金提供をしてもいい」と提案する。金に釣られて、思わずガイドを引き受けてしまうグラント。だが、実はカービー夫妻は大会社の社長ではなく、地方の小さな塗装会社の経営者だった。二人の息子がソルナ島で行方不明になったため、捜索のガイドとしてグラントが雇われたのだ。島に着いてからその事実を知り、激怒するグラント。すぐに帰ろうとするグラントの前に恐竜が現れ、乗ってきた飛行機が破壊されてしまう。一行のサバイバルが始まった!
まあ、メチャクチャです。こんなにメチャクチャにしていいのか。1作目はソコソコ上質なSFだったのに、もうすでに超B級ギャグ映画に堕してしまっている。簡単に騙されてしまうグラントもおかしいが、ここまでムチャをするカービー夫妻のイカレっぷりもすさまじい。カービー夫妻が雇った腕っぷしの強そうな?3人の男は速攻で殺されてしまうし、「やっちゃった」のビリー(グラント博士の助手)もやっぱり最後まで生きてて、笑っちまう。お前は男塾か!最後もなあ。オープニングのフリはこのオチのためか!わざわざ!ずっこけます。
ストーリーはない。御都合主義に終始して、いつの間にか脱出できたり、いつの間にか助かったりしているので、もうどうでもいい。ラプトルが異常に頭が良かったり、滑空しかできないはずのプテラノドンが、子供を捕まえて空を飛び回ったりと、科学的な部分もかなりいい加減。でも、そんなことはどうでもいい。この映画の見どころは、とにかくバカな人間と同じくらいバカさを見せつけながら暴れ回る恐竜。今回はティラノサウルスでさえ倒してしまうスピノサウルスという恐竜が最大の敵なのだが、あまりの凶暴さに「お前はキングギドラか!」と突っ込みたくなってしまう。プテラノドンが橋の上を走って?追い掛けてくるシーンも笑った。わざわざ歩かなくてもいいだろ・・・。
恐竜の存在感自体は、パート2の方が上だと思う。今回の恐竜はCG臭い感じがして、イマイチだった。それでもやはりこれは映画館でこそ迫力が十二分に楽しめる映画。映画館らしい?映画ということで、4押忍やる。サム・ニールのパロディってのも珍しいし。
「ライトスタッフ」(DVD・5押忍)
1983年にアカデミー賞を4部門かっさらった名作。20年近く前の作品だとは思えないほど、力強い作品だ。
1950年代前半。ロケット打ち上げでソ連に遅れをとったアメリカは、マーキュリー計画を発動。有人宇宙飛行の実現を急いだ。全国から集められたのは、7人の精鋭パイロット。試行錯誤の末、いよいよロケットが打ち上げられる・・・!
実話を元にした映画。「オネアミスの翼」の元ネタは間違いなくこれであろう。3時間以上ある大長編映画だが、全く長さを感じさせない。なにがそんなに面白いのだろう?派手なドンパチシーンもなければ、濃厚なラブシーンもない。実に淡々とした映画だ。テーマが全編をうまく貫いており、余分なところを一点も感じない。中だるみもない。
うまいのは、宇宙飛行士らのチャレンジと並行して、チャック・イェーガー(初めて音速を越えたアメリカ空軍パイロット)のチャレンジが描かれている点。イェーガーは7人の宇宙飛行士全員が認めるカリスマであるにもかかわらず、大卒ではないという理由で、宇宙に行けない。だがイェーガーはそんなことお構いなしに、自分のチャレンジを続ける。この映画を貫くのは「チャレンジスピリッツの素晴らしさ」だが、7人の宇宙飛行士と、チャック・イェーガーそれぞれの「チャレンジ」がうまく対比されながら描かれていて、作品全体が引き締まっている。
うまく書けないが、とにかくすばらしい作品だ。黙って見ろ!系の映画だろう。
気が付いた細かい点を。エド・ハリスもデニス・クエイドもランス・ヘンリクセンも若い!ランス・ヘンリクセンはほとんどセリフがない端役で、もったいないことこのうえない。サム・シェパードのチャック・イェーガーは格好良すぎ。チョイ役でジェフ・ゴールドブラムが出てくるのが、これも若いッ!しかもなかなかオイシイ役だ・・・。空母の甲板でゲロを吐くシーンがあるが、すごい迫真の演技。やり過ぎです。適度にお笑いの要素が盛り込まれていたのもポイント高し。
とにかく見ろ!オススメです。
「千と千尋の神隠し」(3押忍)
もう少しで5押忍まで突き抜けそうだったんだが、パンフを読んでいたら、あまりにもミヤザキが御託を並べまくっているのに腹が立って、2押忍減点した。ざまあみろ。
「10歳の女の子向けの映画を作ってないから作った」ちゅうても、「魔女宅」はそうじゃないの?思春期の子は、あんなガキ向け映画を見ても、なんも思わんと思うよ。「自分の中の生きる力に気付く」っても、気付いているか?もともと、千尋というのはああいうキャラクターじゃないの?一応、千尋がごく普通の子供であるように冒頭部分で描かれてはいるのだが、だからなんだっつーのという程度にしか描かれていない。インパクトに残らないので、その後の千尋の行動も、大して印象強くない。
ゴタゴタ言わないで、「『もののけ姫』は暗かったし、説教臭すぎました。今度は家族でみんなでアハハと笑える映画作って見ました。とにかく黙って見て下さい」でいいんじゃないの。それで十分な映画だと思う。途中で2個所ほど環境保護のニオイがプンプンするシーンがあるんだけど、それさえ除けば、子供から大人まで、みんながニッコリ笑って見て、終わったあと「ああ、面白かった」と言える作品だと思う。自分の大切な人(人々)のために、懸命になる女の子の活躍談というのは、宮崎駿お得意のストーリーで何一つ目新しくないし、カオナシに関しても「アイデンティティーの欠如した人物を救う」というのは、すでに漫画版「ナウシカ」でやったこと。ストーリー自体は特にどうのこうのと思わない。相変わらず元気なジジイとババアが出てきて、女が元気で、男はあんまり頼りにならない。主人公の健気さはミヤザキ的に昇華され、時としてブリッコ(死語)臭くさえ感じる。みんな「かわいくないようにしなきゃな」とか言いながら、「千尋萌え萌え!」になっていたに違いない。
それでも3押忍やったのは、ファンタジーとして極上の仕上がりであるから。湯婆婆の世界の造形は、とにかく見事の一言。お湯屋は(風呂大好きっ子としては)ぜひとも行きたい!と思わせるような魅力的な建造物だし、半水没した線路を走る列車、咲き乱れる花々の間を走り抜けるシーンなど、どこをとっても(アニメ映画として)世界最高水準の映像だと断言できる。ややCG部分が鼻につく部分もあるが、それには目をつぶれるくらいの美しさ。「おもひでぽろぽろ」の映像にも圧倒されたが、これはそれを越えた。坊の部屋のシーンで「アキラ」を連想したというのは黙っておこう。相変わらず空を飛んだり、(疑似で)空中を走ったりしていたのも苦笑を誘った・・・もうやめておこう。また脱線しそうだ。
銭婆のハンコは何だったのか?とか、カオナシは結局なんだったのか?とか、銭婆と湯婆婆はなぜ仲が悪くなったのか?とか、なぜ銭婆は千尋に優しくしたのか?とか、解決されていない部分はたくさん残ったが、そういうことをクドクド説明しないあたりもいい。ものすごく簡潔なエンディングにも好感が持てた。柊瑠美の下手っぷりにはガックリきたが、それを補ってあまりある夏木マリ女史の激演ぶりに感動したッ!とりあえず現段階では、この夏もっとも安心して見られる映画だ。DVDも買うかもしれない。
「PLANET OF THE APES」(4押忍)
やった。やっぱりやっちまった。やっちまってますよ、バートン君!悪い予感大的中。パンフレットで「リアルなものが作りたい」(ティム・バートン)とか言ってるけど、出来たのはやはり良くも悪くも「バートン・ワールド」。ダメやん!予想はしていたけど、予想以上のバートンっぷり。やはり大作じゃない。思いっきりB級。パンフでわざわざ「B級は作りたくない」と明言しているのは、ネタか。どうやねん。
30年ほど先の未来。人類は宇宙に進出していた。人間の代わりに危険任務につくのは、遺伝子操作された天才チンパンジーたち。ある日、謎の磁気嵐が発生。チンパンジー・ペリクリーズが調査に向かうが、消息を絶ってしまう。ペリグリーズを訓練した宇宙飛行士・レオは、上官が止めるのも聞かず、ペリグリーズを追って磁気嵐の中へ突入するが、あえなく遭難。不時着した惑星は、猿が人間を支配する惑星だった。
前作と同じなのは、英語をしゃべる猿が出てくることと、人間が猿に支配されていることだけ。あとは完全にオリジナルストーリー。大体、想像通りの展開で進んでしまう。レオは猿に捕まるも、脱走。人間に理解を示す猿とともに、なんとか元の世界に戻るよう苦闘する。それだけ。あとはオチのみ。オチは書かないが、笑っちまうよ。つーか、予想通りの結末やんけ!これなら、初代「猿の惑星」のエンディングの方が5000倍くらいマシ。さすがにこんなオチはないやろう・・・と、考えうる最高にバートン的なラストに、大爆笑間違いなし。これに怒る人は、「フランケンウイニー」からバートン作品を見直すべし。バートン最高!あのエンディングには笑いました。でも、予想通りなんで減点1。
特殊メイクがまた笑える。オスはまだいいんだけど、こんなメスはないでしょう。ヒロイン?が「ファイトクラブ」のヘレナ・ボトム・カーターなんですが、ネタですか?!笑いをとろうとしているんですか!!??そんなメイク。なんじゃこりゃ!と激しく突っ込んでしまいます。「海の上のピアニスト」のティム・ロスもイカレ過ぎ。レオたちが街を脱出するシーンは、まるでドリフの大爆笑状態。お前らどこ逃げとるねん!とまたまた突っ込みたくなります。そして、被害を受ける猿たちがまたネタ的。だって、メス猿がレースのヒラヒラのネグリジェでダンナのオス猿を誘惑(ベッドの上で「ウホ!ウホ!ウホ!」と絶叫する)するんですぜ。これ、ネタ以外の何者でもないでしょう。
バートン作品を初めて見た人は「おもんね〜」と思うんじゃないかなあ。バートン映画だと思って、覚悟して見れば面白いです、十分に。
「パールハーバー」(大目に見て2押忍)
1時間半、三文ドラマに付き合える人だけ見てよし。そんな長時間耐えられるか!という人は、レンタルまで待ってよし。
第二次世界大戦下のアメリカ。幼なじみのレイフとダニーは、陸軍航空隊でも1、2を争う優秀なパイロットだ。レイフは看護婦イヴリンと出会い、恋に落ちる。将来を誓い合ったその翌日、レイフは志願してイギリス空軍に参加。一方、ダニーとイヴリンは太平洋の要衝ハワイに赴任する。ある日、レイフが戦死したとの報がハワイに届く。悲嘆に暮れるイヴリン。そんなイヴリンに、後ろめたさを感じながらも魅かれていくダニー。レイフ戦死の報から3カ月後、イヴリンは結局、ダニーと結ばれる。しかし、突然レイフが生きてハワイに現れた。戦死は誤報だったのだ。友情と愛情のはざまで揺れ動く3人。まさにその時、日本軍による真珠湾奇襲攻撃が始まった!
真珠湾攻撃をクライマックスに据え、男2人女1人の三角関係ドラマをチンタラモッサラ描いた愚作。大体、監督がマイケル・ベイと聞いたときから、嫌な予感はしていたのだ。だって、あの「アルマゲドン」の監督でしょう?しかも製作まで同じジェリー・ブラッカイマー。「アルマゲドン」も腐れ恋愛ドラマ(に無理矢理親子ドラマをくっつけた)だったが、これもドラマ部分はすさまじいまでの腐れっぷり。ベン・アフレックと言えば、同じく「アルマゲドン」で主要キャラクターのくせに、異様に存在感のない演技をしていた俳優だが、ここもなんだかハマっていない。個人的にベン・アフレックのはまり役は「恋に落ちたシェイクスピア」の間抜けだが憎めない看板役者で、ああいうチと頭の弱い役こそ適役だと思うのだ。こういうバリバリの2枚目は似合わない。幼なじみダニー役のジョシュ・ハートネットはともかく、イヴリン役のケイト・ベッキンセールもはりきりすぎていておかしい。
とにかくドラマ部分はとてつもなくつまらない。よくこんなもんを撮ったものだと・・・プロの仕事とは思えない腐れぶり。「アルマゲドン」で、マイケル・ベイは心情表現や泣かせる演出の下手な監督だなあと思ったが、今回で確信した。ドラマを撮らせたらダメだ。いきなり訳の分からない理由で恋に落ちるレイフとイヴリン。「楽しみ(セックス)は帰ってから」とカッコつけるレイフ。それを笑って受け入れてしまうイヴリン。レイフの戦死をきっかけに、あれよあれよと言う間にくっついてしまうダニーとイヴリン。そしていきなり妊娠。「心はダニーに捧げるが、あなたを愛し続ける」と、理解不可能なセリフでレイフを説得するイヴリン。それで納得しちゃうレイフ。結局フタマタなんっすか?!もう訳がわかりません。昼メロ(死語)より安っぽすぎる。ドラマ部分だけでは、とてもじゃないが大作なんて言えない。
では、戦争シーンや戦争の描き方は面白いのか?ギャグとして見れば、面白いかもしれない。白砂青松の海岸で作戦会議する日本軍。山本五十六は押しも押されぬ日系大物俳優・マコさんだ。なぜか露天。すぐそばで子供たちが凧揚げをしている。そして「尊王」とかいろいろ書かれた幟がいっぱい立っている。訳がわからない。さらに作戦会議のシーン。なぜか地図をわざわざ石碑にしている。手間かかりすぎやっちゅうねん。日本語のセリフも辿々しすぎるちゅうねん。評価できる点と言えば「もっとも賢明な作戦は、戦争をしないことだ」とマコさんに言わせてみたり、出撃直前の日本兵に両親への愛惜の言葉を言わせてみたり、ほんの少しだけだが人間としての日本軍を描いていること。これまでの狂気的なステレオタイプの日本軍でない点は、目新しかった。
そうそう。真珠湾奇襲攻撃は卑怯かどうか?という点については、実にアッサリしている。日本軍は最も効率のよう作戦として、奇襲戦法を選んだと描かれているし、アメリカ軍の不手際で奇襲が未然に防げなかったこともきちんと描いている。「奇襲は卑怯だ」ということは大統領演説のなかで少し触れられるくらいで、真珠湾攻撃の評価については、この作品は一切、触れていないと判断していいだろう。
で、残りの戦争シーンはどうか。これは、さすがに金がかかっているだけあって、見どころ十分。日本軍の戦闘機から落とされる爆弾の視点なんてのは、実に新鮮だった。(外観だけだが)本物のゼロ戦を飛ばした心意気は買える。次々と軍艦が火を吹いて沈没するシーンは映画館で見なければならないド迫力ぶり。ただ、戦艦アリゾナの沈没シーンは「タイタニック」のパロディかと思った。これは余計。時間もかけすぎ。
問題は、戦争シーンに至るまでに1時間半もかかるということだ。特に序盤の30分は座っていられないほどの苦痛。それぐらい面白くなかった。ラストまで3時間。真珠湾攻撃のシーン以降はテンポよく見ていられるのだが、あなたはこの前半1時間半に耐えられるかな?
後半はちょびっとだけ面白かった。1押忍では俺の3時間はなんだったのか?!と虚しくなるので、2押忍やっておく。
「A.I.」(1押忍!ネタバレあり)
スピルバーグだろうがキューブリックだろうが、俺は自分の主観に従うのだ。おもろないねん!
雑誌や新聞を見ると、みんな「ストーリーは言えないが・・・」ともったいつけているが、もったいつけるほどのことではない。遠い未来。温暖化の影響で地球の各都市は水没し、生存地域や食料の限界から、人類は出産をコントロールしていた。経済を支えるのは、一度作ればほぼ永久に働き続けるロボットたち。そんななか、サイバートロニクス社は子供を作れない夫婦のために「愛情を持つ子供型ロボット」を開発する。第一号のデイビッドが完成し、デイビッドはサイバートロニクス社の社員、ヘンリーのもとへ預けられることになった。ヘンリーには不治の病に侵された息子・マーティンがおり、妻モニカは深い悲しみに沈んでいる。その悲しみを癒すため、デイビッドが送り込まれたのだ。最初はデイビッドの出現に戸惑いを隠せなかったモニカだが、やがてデイビッドが自分に向けてくる愛情に応えざるをえなくなってくる。
そんなある日、マーティンの不治の病が奇跡的に治る。マーティンの出現に、モニカの愛情を独占できなくなって動揺するデイビッド。やがて家族の間には亀裂が入り始め、デイビッドはある事件をきっかけに、捨てられてしまう。
モニカから「ピノキオ」の話を聞いていたデイビッドは、自分もピノキオのように人間の子供になるため、妖精探しの旅に出る。
一口で言ってしまえば、めちゃくちゃ金をかけて作った「ピノキオ」だ。無垢なデイビッドが虐待されるロボットたちと出会ったり、大人の愛欲の世界を垣間見たり、自分の誕生の秘密を知ったりしながらストーリーは進む。モニカの愛を得るために、ただひたすらに突き進むデイビッドの姿は、悲しみを誘うというよりも、あまりにも愚鈍すぎて滑稽。さすがにラストまでは明かさないが、こんなエンディングも個人的には納得できない。ではどんなエンディングなら納得するのか?と言われると困ってしまうのだが、少なくともこのエンディングはダメだ。一応ハッピーエンドで終わるのだが、なあ。
鬼才スタンリー・キューブリックが長年、温めていたアイデアを、唯一聞かされていたスピルバーグが映画化した。確かにこの映画はキューブリックが撮っていれば面白かったかも知れない。キューブリック映画には、他の人には真似できない特殊な間や空虚感があり、それがあればこの映画は、それなりに評価できる映画になっていたかも知れない。しかし、だ。これはあくまでもスピルバーグの映画なのだ。全編にスピルバーグらしいエンターテイメント性が強く出ており、キューブリック独自の虚無感や不安感はまったくない。ストーリーはヤマ場へ向けて波打ちながら進み、クライマックスへと進んでいく。しかし、キューブリック映画にはそういう「波」がないのが特徴なのだ。淡々と進みながら、「そんなことでいいのか!」という不安と混乱に満ちたエンディングを観衆に突きつける。この映画のエンディングも、ある種、そういうエンディング。あれでナレーションがなければ、まさにキューブリック的なエンディングだった。しかし、スピルバーグ的なエンターテイメント性が注入されたおかげで、クライマックスは実に説明臭くなってしまっている。
びっくりするようなどんでん返しもなく、期待した特殊撮影もそれほど大したことはなかった。すがるような眼差しが特徴的なデイビッド役のハーレイ・ジョエル・オスメントはハマリ役だが、表情の乏しさと変化に乏しすぎるキャラクターのために途中から鬱陶しくなってくる(この子、間違いなくラッセル・クロウみたいな役者になるに違いない。マコーレ・カルキンみたいに堕落したら話しにならないが)。また、デイビッドが求める「愛」が母親に限定されており(そういうロボットなのだから仕方ないが)、父親や兄弟として認識するべきマーティンに対しては、並一通りの親近感しか持っていないのも不自然。マザコンロボットの異常な執着映画に思えてならない。普通なら、家族の一員として認められることを第一としないだろうか?それが、まず母親ありきなのだ。歪だ。
唯一の救いは、ジゴロロボット役のジュード・ロウ。「スターリングラード」で違和感バリバリのロシア兵役を演じていた彼だが、ここは逆にはまり過ぎ。端正すぎる顔は、むしろロボット役が似合うし、臭いセリフを吐き散らしてタップダンスを踊る姿は爆笑モノ。デイビッドに頼られながら、まったくデイビッドを救えないあたりも笑える。
ところで。クライマックスでかなり多くの客がグスングスンとすすり泣く声が聞こえたのだが、なぜここで泣く?まったく理解できない。ちうか、泣く映画か?
映画館で見なくてよし。レンタルでも急いで見る必要なし。
追記。この映画については、ネット上でも賛否両論激しくぶつかり合っている。賛成派の評価は「テーマ性」なんだが、それについては同意することは出来ない。この映画のテーマは「人間は神の領域に踏み込んでもいいのか?」ということなんだろうと解釈している。自分の作ったものに、どこまで責任が持てるか。自分の作り出したものが、自分に愛情を差し向けたとき、それを受け入れることができるのか。結局、この映画では人類は神の領域に踏み込み、そして挫折する。その結果が、あのクライマックスなんだろう。神は人間を作った。人間はA.I.を作った。そして、ということなんだろうが・・・。うーん。やはりこのテーマを描ききるには、キューブリックがメガホンを取ったほうが良かったと思う。
「グリーンデスティニー」(DVD・2押忍)
よくこれでアカデミー賞4部門も受賞できたな。アカデミー賞の審査委員ってもしかしてバカ?
武侠の世界にその名を知られた剣士リー・ムーバイ。しかし、修行に挫折し、武の道から足を洗おうとしている。心残りは、かつて自分の師を毒殺し、奥義「ウーダンの書」を持ち去った「碧眼狐」という盗賊を仕留めそこなったこと。リーは親友の許婚にして、古くからの友人・シューリンに愛用の名剣「グリーンデスティニー」を託し、北京のさる富豪に献上するように依頼する。北京でシューリンは貴族の娘・イェンに出会う。親同士が決めた結婚を目前に、不満で爆発しそうなイェンは、有能な剣士でもあるシューリンを姉のように慕う。ある夜、富豪の邸宅に盗賊が侵入。グリーンデスティニーが奪われてしまう。賊を追ったシューリンは、それがイェンであることを確信。やがて、グリーンデスティニーを中心に、彼らの運命は大きく動き始める・・・。
死んだ親友の許婚であるシューリンに想いを寄せるリー。そのリーの想いを知りながら、死者に貞操を立てるシューリン。一方、西域で出会った盗賊ローと、永遠の愛を誓い合ったイェン。イェンを追って、北京へやってきたロー。この2組の恋の行方を中心に、物語は進む。互いに距離を置いたままのリーとシューリン。一方、激しく求めあうも、なかなか一緒になれないローとイェン。このあたりにスポットを当ててストーリーを進めればよかったのだろうが、そこにいろいろ別の要素を詰め込んでしまったため、ストーリーが完全に空中分解している。
まず余計なのは、碧眼狐の存在。イェンの武道の師として、リーの仇敵として現れるのだが、ストーリーの中心が「リーの仇討ち物語」ではないので、基本的にどうでもいい。どうせ登場するのなら、もっと主要キャラクター4人の人生を引っかき回して欲しいのだが、期待したほど引っかき回しはしない。最後もあまりにも呆気なく死ぬ。
もう一つは、イェンのアクの強さ。とにかく気が強く、男勝りの武道家として描かれているのだが、そのイカレっぷりが伊達ではない。単身、盗賊団に闘いを挑んだり、気まぐれでグリーンデスティニーを奪ったり・・・。とにかくやることなすことあまりにも型破りすぎて、個性が強すぎる。ところが、主人公と割り切って見れるほどの役回りでもない。最後もいきなりイイ子ブリっ子してみたりして、なんじゃそりゃ!と突っ込みたくなる。そしてラストの意味不明の行動。なんじゃそりゃ?!この無茶苦茶ぶりで、相手役のローがタダのバカに見えてしまう。もう少し押さえ目にすれば、ローやリー、シューリンとのバランスがとれて良かったと思うのだが・・・。
逆に言えば、イェンの人生に介入しようとするリー、シューリンの役回りが、もうひとつ中途半端だとも言える。せっかくチョウ・ユンファ、ミシェル・ヨーとアジアを代表する男優、女優を配したのだから、もう少し前に出てもよかったんじゃないか。特に強いのか弱いのかよく分からないリーの苦悩を、もう少し突っ込んで描いて欲しかった。
とまあ、ストーリーには不満たらたらだ。一方、映像面はなかなかいい。序盤、北京でのシューリンとイェンの攻防は見どころ十分。ただ、やり過ぎの感は否めない。「マトリックス」の特撮チームがこれでもか!これでもか!とワイヤーアクションの粋を尽くしてくれるのだが、いくらなんでもそれはないやろ!というような重力無視の動きをする。どんな武道の達人でもあんな動きは不可能だ。面白いのを通り越して、興ざめしてしまう。シューリンの館でのシューリン対イェン、食堂でのイェン対荒くれ者たちの2シーンはまだ笑えていいんだけどなあ。それに対し、竹林でのリー対イェン、ラストのリー対碧眼狐はショボい。この辺のバランスも悪い。
ああ、あと、グリーンデスティニーが「とにかく硬いだけの普通の剣」というあたりがなんだかやだなあ。もう少しなんとかしてくれませんか?予告編でも「その剣は愛の力で目を覚ます」とか言ってたやんか。
エンディングの不可解さもマイナス。なんとなく気持ちは分かるが、結局イェンは自分の幸せを手に入れたのだから、それでいいんじゃない?いまさらあの2人のためになんかやる必要もないでしょ。と思うんだけど。
映像面の満足度だけで2押忍。見たい人挙手。上映会やってもいいです。
「ハムナプトラ2黄金のピラミッド」(2押忍・ネタバレあり!)
いや、2押忍なんだけど、面白いんですよ。疲れているときとか、ムシャクシャしているときにはオススメ。
前作。大して評判にもならず、「インディー・ジョーンズ」を焼き直したB級映画かと思ったら、その通りだった。ただし、焼き直しでも、B級でも、これはこれなりに十分に面白かったのだ。ブレンダン・フレイザーにレイチェル・ワイスと二流(当時)俳優の熱演もさることながら、説明や理屈をすっ飛ばしたテンポの良い能天気ストーリー、B級らしからぬ力の入った特撮と、見どころは多かった。そして今回。同じ。同じです。やはり「インディー・ジョーンズ」の焼き直し、B級満開映画。説明なし、理屈なし。やりたい放題し放題。もうなんでも勢いでやってしまえ!やっちゃった!!映画。頭悪すぎます。でもこれはこれなりに面白いのでよし。
ストーリーはあるんだけど、途中から完璧に無視される。前作から9年。冒険家リックは考古学者エヴリンと結婚し、アレックスという男の子にも恵まれた。前作で冒険に目覚めてしまったエヴリンと、相変わらず遺跡を巡り歩いている。今回はエヴリンが見た「夢」にしたがって遺跡を掘っている。そして発見したのが古代の王・スコーピオンキングの腕輪。死者の軍団を率いたというスコーピオンキングが実在する証拠を発見したエヴリンは、スコーピオンキング探しに向かおうとする。一方そのころ、大英博物館長の陰謀で、前作の悪役・大僧正イムホテップが復活。イムホテップはスコーピオンキングを倒し、死者の軍団を支配下に入れようとする。イムホテップとリックの2回戦が始まった!
ストーリーはややこしそうなのだが、途中からはメチャクチャである。大英博物館長が率いる謎の軍団は何なのか?なぜ1930年代にジェットエンジンが登場するのか?なぜエジプトのあちらこちらを巡り歩かないとスコーピオンキングに辿り着かないのか?なぜ指揮官のいない死者の軍団が一斉攻撃を始めるのか?一切、説明はない。そういう細かいことは全て、無視。とにかく突っ走る。バスの外壁を手でむしり取るミイラ戦士と素手で闘うリック。撃っても撃っても(ミイラ以外には)当たらない銃弾。電車に追いついてしまう飛行船。笑いをとるために出てくるようなピグミー・ミイラ。極め付きは強いのか弱いのかまったく不明なスコーピオンキングだ。
このスコーピオンキングに扮するのはドウェイン・ジョンソン。プロレスファンにはおなじみの人だが、強いのか弱いのかよくわからないレスラーでもある。で、最初は少しだけ派手に暴れてくれるのだが、ラストに登場するときには、なぜかCGになっちゃってる。そりゃ、アレを生身の人間でやるのはツライかもしれないが、あ〜た、全部CGですよ。そりゃないやろ。途中からは怒りを通り越して笑っちゃいます。しかも名前がスコーピオンキング。みんな「イムホテプ」とかエジプトっぽい名前なのに、あんただけバリバリ英語の名前もないやろ。
これがアメリカでは大人気で、すでにパート3の話が出来ているらしい。しかも、スコーピオンキング主役の「外伝」まで製作中だそうな。この頭悪い系映画が作られ続けているうちは、世界は平和だ。きっと。面白いんだけど、中身なし、ストーリーハチャメチャなので2押忍。
「JSA」(3.8押忍)
困った。3押忍にしようかと思ったが、3押忍ほど低い評価でもない。かと言って、4押忍までは行かない。というのも、俺内で「シュリ」が4押忍なので総合的に「シュリ」以上ではないこれは、4以下にせざるを得ないのだ。そういうわけで、中途半端だけど3.8。ただ、あくまでも総合的に見れば「シュリ」以下なだけで、部分的に見れば「シュリ」以上のものは多いに持っている。コリアン・ムービーの面白さを再認識させてくれる映画だし、ヒューマンドラマとして見ても、とてもいいデキだ。
北朝鮮と大韓民国の国境線にある共同警備区域(JSA)である日、韓国軍兵士が北朝鮮兵士3人を銃撃、2人が死亡する事件が起きる。銃撃犯のスヒョク兵長はすぐに身柄を確保、自分がやったと自白するが、デリケートな問題なだけに、原因を解明すべく、中立国監督委員会からスイス軍のソフィー将校が派遣される。調査を始めるソフィーだが、北と南の言い分がまったく違う。事実を追うソフィーだが、その前に南北の緊張のプレッシャーが立ちはだかる・・・。
と、こう書くと、なんだか「将軍の娘」を連想してしまうのだが、実際に見に行くと全然違う。想像していたのと、まったく違う作品だった。「シュリ」が殺し屋と刑事の悲恋を引き立たせるために、南北を題材に使ったのに対し、こちらは南北分断の問題を真っ正面から扱っている。「シュリ」も韓国でなければ撮れない映画だが、「JSA」はもっと韓国でなければ撮れない映画だ。なんだか「シュリ」と比べてばっかりになるのだが、「シュリ」がハリウッド的なドンパチアイラブユー映画だったのに対し、「JSA」はかなりしっとりした、欧州的というか、ある意味日本的な映画でもある。あんまりドンパチはなく、むしろ人間の心に照準を絞った映画だ。それゆえ、あの悲劇的なエンディングはあまりにも切なく胸に迫る。私が日本人なので、どうしても分かりやすい「シュリ」の方を評価してしまいがちだが、韓国人だったら「JSA」の方が心に響いたと思うかも知れない。そんな感じ。
ちなみに主演のイ・ビョンホンはよく知らないのだが、なかなかいい俳優さんである。で、相手役のソン・ガンホは「シュリ」でもオイシイ役をやっていた人だが、今回もオイシイ役です。めちゃくちゃかっこいいです。ヒョン(兄貴)と呼ばせて下さい。血の出るような「マンセ!」には涙が出そうになりました。
ただ、なにがなんでも映画館に、という映画ではないなあ。むしろビデオで借りてきて、夜中に一人で見て、静かに余韻にひたる映画ではないでしょうか。
「メトロポリス」(2.5押忍)
監督・りんたろう、脚本・大友克洋と日本アニメ界の巨匠2人が故・手塚治虫の初期3部作のひとつをベースに作ったアニメーション大作。はっきり言って原作のストーリーは筋の部分だけしか残っておらず、ほぼリメイクに近い感じがする。いい意味でも悪い意味でも、大友的な雰囲気がプンプンする。
近未来。小国メトロポリスは、今まさに繁栄の絶頂を極めつつあった。権力者レッド公は、都市の中心に巨大な高層建築・ジグラットを建設。内部に、秘かに世界征服のためのオモテニウム発射装置を完成させる。一方、死んだ自分の娘を復活させるべく、マッドサイエンティストを雇って人造人間・ティマを製作させる。マッドサイエンティストを追ってメトロポリスへやってきた探偵・ヒゲオヤジとその甥っ子・ケンイチは、レッド公をめぐる陰謀に巻き込まれていく・・・。
第一印象から言えば、かなりがんばった作品だと思う。映像面では、現段階で世界最高水準にあるだろう。CGをふんだんに使いながらも、嫌みな感じはしないし、都市や人物、機械の細かい部分まで丁寧に作られている。相当、金と時間をかけたに違いない。メトロポリスの地上部分の荘厳さ、一転してゾーン1の下町風景、いずれもしっかりと書き込まれていて、各シーンごとに見応えがある。キャラクターの動きについても、昔の手塚アニメの雰囲気をうまく再現している。それは何かちゅうと、ディズニーアニメに見られる少しオーバー目で、やたらと滑らかなアクションだ。冒頭のレッド公の演説シーンや、ロートン博士の動きにはそれが端的に表れている。また、キャラクターも手塚風に膝下と肘下が太かったりして、古い手塚作品を知っている人には懐かしい。
そこに大友チックなガジェット趣味剥き出しの機械群が組み合わさって、とてもいい感じだ。個人的にはすごく好き。ジェームズ・キャメロンとか、ティム・バートンもこういうの好きなんだろうなあと思っていたら、当のキャメロンがパンフレットにメッセージを寄せていた。すげえ。
さらにBGMが全編、ジャズというのもいい。中途半端なデジタルミュージックよりも、この作品にとてもマッチしている。
これだけ褒めておいて、なんで2.5なんかというと、ストーリー展開がイヤにギクシャクしているのが気になったからだ。通して見れば、それなりに切なくていいのだが、テンポがよくない。これは個人的な感覚なのかもしれないけど、「ここでスピーディーな展開を・・・」と思った時にタルくなってみたり、「ここはゆっくりと・・・」と思ったときに速くなったりして、とにかくテンポがよくないのだ。途中で「お子様向きのテンポなのだろうか」と思ったりもしたが、そうでもない。一例を挙げれば、最初にゾーン3でロックがケンイチとティナを発見し、追撃するシーン。あそこはもっと速いテンポの方がいい。逆にゆっくりして欲しかったのは、ティマが人造人間として覚醒するシーン。あそこはもう少し、ティマの変貌をゆっくり描いてもらわないと、あまりにも突然過ぎてあっけにとられているうちにクライマックスに突入してしまう。とても分かりにくいテンポで、気になった。こまかい部分を挙げれば切りがない。
逆に映像以外で評価したい点は、原作にはいないロックを登場させたこと。ロックは手塚作品にはあちこちに登場する悪漢キャラクターだが、今回も遺憾なく屈折した悪漢ぶりを発揮している。彼の登場によって、随分とストーリーが引き締まった。もう一つ、終わり方だ。あのとき、ティマが「ありがとう」とか言ったら、もう全部ぶち壊しているところだが、あのセリフは効く。効かせるセリフだ。いいです。あれのおかげでゲロ甘エンディングにならなかったし、最後の最後で「アレ?」というハッピーエンディングの可能性も残してくれている。
え?なんのことか分からん?それなら映画館へ行きなさい!これは映画館で見る作品だと思います。その価値あり。私はDVD出たら、買うかもしれない。ドライブ持ってないけど・・・。
「スターリングラード」(1押忍)
うわっ、おもんね。ほとんど見るところのない、最低の映画。途中で寝そうになったし、エンドロールの最中に席を立ちたくなった。
ナチス・ドイツとソ連軍がスターリングラードを巡って闘う。ソ連勢圧倒的劣勢のなか、救世主が現れた。ヴァシリ・ザイツェフ。ウラルの羊飼いの出自。天才的な射撃能力で、次々にナチスの将校を抹殺する。若き政治将校・ダニロフの手で、一役ソ連軍のヒーローに祭り上げられるヴァシリ。戦火のなかで、市民兵のターニャと恋に落ちるが、そんなヴァシリを殺すべく、ナチスのスゴ腕スナイパー、ケーニッヒ少佐がスターリングラードに乗り込んでくる。ケーニッヒとヴァシリの息詰まる闘いが始まる・・・!
新聞で「冒頭の15分は『プライベート・ライアン』に匹敵する迫力!」とか書いてあったけど、全然。足下にも及ばない。確かに迫力はあるが、迫真度では「プライベート〜」の方がはるかに上だ。武器不足で、ライフルの弾だけ持って走り回るヴァシリことジュード・ロウがカッコ悪くて泣けてくる。ホンマにこんな攻撃してたんなら、ソ連軍ってホンマにアホやな。それはさておき、全編を通じて戦闘シーンはおもしろくないです。ほとんどヴァシリの狙撃シーンなので、派手なドンパチがないのはしょうがないのかもしれないけど・・・。
それ以前に、全編英語セリフのソ連軍映画ってのが違和感バリバリ。ドイツ軍も英語ペラペラ。変です。せめてドイツ軍はドイツ語でもよかったんじゃないでしょうか。ヒロスエでさえ、フランス語しゃべってるご時世でっせ。これが一番、最後までハナについた。だって、ロシア人が「オーマイガッ!」とか「サノバビッチ!!」とか言うてんねんで。変やろ。たまには「ハラショー」くらい言え。これがダメ。ダメダメです。このせいで、この映画は雰囲気ブチ壊し。ミソもへったくれもあったもんじゃない。
救いは、ヴァシリとケーニッヒの息詰まるスナイパー合戦。戦場で西部劇みたいなのをやるわけだけど、名乗りもしなければ姿も見せない。お互い、うずくまって一瞬のチャンスを待っているだけ。これが結構、スリリングで面白かった。なんか新しいんじゃないでしょうか。戦争映画としては。エド・ハリスも最後までかっこよかったし。ケーニッヒって名前はありきたりな感じだが。
もう一つの救いは、レイチェル・ワイスのラブシーン。「ハムナプトラ」で一躍、有名人になった彼女ですが、こんかいはベリー・グーなヒップを一瞬だけ披露してくれます。これがスゴイ、グッドヒップ!オー、ハラショー!!スターリン万歳!!と叫んでしまいたくなるほど。これくらいか。これと狙撃シーンで合わせて1押忍や。うん。見なくてもいいや。
「ストレイト・ストーリー」(ビデオ・4押忍)
これまでアヤシイ映画ばっかり撮ってきたデビッド・リンチが、珍しく「感動作だ!」との評価を得た映画。病に倒れた兄を見舞うため、年老いた弟がトラクターではるばる500キロの道のりを旅するという、実話を基にしたストーリーだ。
確かに、これまでのリンチ映画とは見た目は違う。流血はないし、SM趣味もない。異常性格者も出てこないし、猟奇殺人も起こらない。極めて淡々と、老人の長い長い旅程を描いた映画だ。で、道程で老人が説教を垂れたり、我が子を気遣ったり、戦争の辛さを思い出したりする。それだけ。それだけだ。これを説教臭いと見るか、茶番と見るか。人によりけりだと思うが、個人的にはリンチらしい余韻の残し方で、ええんちゃうかと思った。
もともとリンチは派手な演出はせずに、ジリジリと心の表面を撫でるような演出をする。セリフに長い間合いを取ったり、意味深な映像を挟んだりして、心理的な不安感をかきたてるのがうまい。映像もそうだ。少しいびつなアングルや、不自然なカメラ回しで見ている人間に、嫌な不安感を沸かせる。これまではサスペンスでそういう手腕を遺憾なく発揮してきたが、今回は感動作でそれをやったろうかい!というわけなのだ。
それが今回はうまくはまっている。特にエンディング。長い長い間のあとに、たった一言。たった一言のセリフだが、これが実に感動的な余韻を残している。いいぞ、リンチ。「ツイン・ピークス」とか「ボクシング・ヘレナ」とか「ブルーベルベット」とか、ああいう訳の分からない映画(ドラマ)しか撮れないのかと思っていたが、手腕を別の方向にも発揮できることを発見。
しかし、リンチが完璧にマトモな映画を撮ったかというと、そうでもない。やはり、変な人が出てくるし、変なことが起きている。まず主人公の娘のローズだ。変だ。あのしゃべり方は間違いなく意図的にしているのだと思うが、変だ。アルヴィン・ストレイトの隣人の、太ったオバサンも変だ。なんか、モンスターみたい。アルヴィンに説教される少女も変だ。あんまりかわいくないし。とにかく、出てくる人がみんなどこか不自然。要らない家だからという理由で、消火訓練に使っちゃう・・・そこまでは認めるとしても、それをみんなでカメラ持参で見物しているのは変すぎる。ウィスコンシンのバーの客も変だ。あれが兄貴かと思った。そんなハリウッド的なオチを突けないあたりが、リンチらしい。
リンチ好きにはオススメ。リンチなんか知らんという人には1押忍くらいかも。俺はあの余韻が気に入った。
「グラディエーター」(ビデオ・4押忍)
アカデミー賞獲った作品くらい、見とかなきゃいかんだろうと、今更ながらに借りてきて見た。
あー、さすがにアカデミー賞獲っただけあります。
「一大スペクタクル」という言葉をそのまま映画にしたら、こういうのができるんだろうなあ。そういう映画。リドリー・スコットは「ブレードランナー」のころから味のある絵を撮る人で、特に陰影の濃い絵を撮らせるとうまい。今回はえらい明るい画面が多いんだけど、肝心の部分では得意の陰影をうまく使った絵で魅せてくれます。あと、構成がうまくて、オープニングとエンディングがうまくリンク(これって最近、流行りなのかなあ)していて、なかなかよろしい。戦闘シーンや合戦シーンも迫力があって・・・いや、最初に見たときは「ブレイブハート」かと思った。いや、最初だけですが。
スケールのデカさと、ストーリーの馬鹿がつくほどの分かりやすさは確かに昨年度アカデミー賞のなかでは一番かも知れない。全部は見ていないんで分からないけど。映画館で頭空っぽにして見ていたら、不覚にも泣いたかもしれない。でもあまりにもアホ単純すぎて泣けん。
ローマ時代。マルクス帝は辺境の蛮族との戦いに明け暮れていた。帝の頼もしい片腕が大将軍のマキシマス。しかしマルクス帝が民主制への移行を決意し、移行期間の実権をマキシマスに譲ろうとしていることを知ったマルクス帝の息子・コモドゥスは、マルクス帝を暗殺し、マキシマスを闇に葬ろうとする。命からがら逃げ出したマキシマスは、故郷で自分の家族が無惨に殺されていることを知り、失意に暮れる。疲れ切ったマキシマスは奴隷商人に買われ、ローマの辺境の町で剣闘士をやることになる。やがて人気剣闘士になったマキシマスはローマのコロッセウムで闘うことになるのだが、その目の前に現れたのがにっくきコモドゥス。復讐のためにマキシマスの闘いが始まる・・・。
まあ最後はそれなりに落ち着くところに落ち着くのだが、ストーリーにはなんのヒネリもない。絵はとにかくイイんだけど、衝撃度は極めて少ない。ただ単にスケールがデカイというだけだ。主演男優賞を獲ったラッセル・クロウだが、相変わらず眉根にしわを寄せた顔ばっかりで、大して演技がうまいとは思えない。泣いたらちょっとトム・ハンクスに似ていることを発見。そんなことどうでもいいけど。
ちゅうか、あれだな。この年は、これ以上スケールのデカイ映画がなかったってことかな。なんかなあ。確かに何度も言うけどスケールはデカイ。マキシマスが死ぬときに、象徴的に表れるゲートのシーンもなかなかいい。俺もこんなところに住みたいぞ!と思わせるマキシマスの屋敷もええ。だが、そんな映像的な話ばかりで、ストーリーのヒネリはなにもない。悪いがハリウッド的なバカ映画と断罪されてもおかしくない。これでタイトルが「コモドゥス」とかで、コモドゥスが「愛ゆえに!」とか言いながら暴れる作品だったら笑えた。でもそれではアカデミー賞は獲れんわな。映像のすごさ、スケールのデカさで4押忍。ストーリーのなさで1押忍減点だ。
「ハンニバル」(2押忍ゲロ突き)
前作の「羊たちの沈黙」。アカデミー賞を獲るには獲ったが、個人的にはどこがおもしろいのか全く理解できなかった。生臭いシーンはラストのちょこっとだけだし、終始、アンソニー・ホプキンスとジョディ・フォスターの禅問答ばかりのつまらない映画だった。「サイコ」や「13日の金曜日」(←これだって十分サイコホラーだっぺ)などのひと昔前のサイコホラーから一皮むけた、という意味では新鮮な映画だったのかもしれない。しかし当時、私は「FBI心理分析官」とかダニエル・キイスの「24人のビリー・ミリガン」とか、犯罪心理分析とか異常犯罪モノを読みまくっていたので、この手の話には、全く新鮮味がなかったのだ。
そして10年の歳月が流れ、続編「ハンニバル」が公開された。原作はすでに文庫化されているが、まだ読んでいない。ちゅうか、あんな分厚いので2分冊。読む気になれない。
結論から言ってしまえば、そんなにメチャメチャおもしろい訳ではない。だって、見に行く前から大体、分かっちゃうでしょ?どんな話か。で、あんまりその想像を裏切ってくれなかったのですよ。序盤の滑り出しはなかなかうまいのだが、中盤までがかなりタルい。しかし、ここでタルませておいた分だけ、クライマックスの緊迫度、衝撃度はいやがおうにも増している。見に行く前に、クライマックスがどんなんかを本意ならず耳に入れてしまっていたのだが、それでも想像以上のインパクトだった。中盤のタレ具合は、ここまで持って行くのの布石と見るべきだろう。そう考えると、さすがリドリー・スコットはうまいなあと思ったりする。
タルいと言っても、それなりにうっ、とかおっとか言わせる緊迫シーンはちりばめられていて、料金分は間違いなく楽しめる。相変わらずリドリー・スコットは陰影の濃い絵を撮らせると実にうまく、映像面には高い評価を付けられる。音響が実に効果的に組み立てられていて、音だけでかなりビックリできるシーンもあった。クラリス役がジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアに変わったが、むしろこれは良かったのではないだろうか。10年前、まだ若かったジョディ・フォスターが、10年間、犯罪の最前線で揉まれるとこんな感じになるかなあ、という姿を、ジュリアン・ムーアは実によく表現していた。ただ、アンソニー・ホプキンスの存在感が強烈すぎて、前作ほどクラリスの存在感がない。今回は本当にハンニバル・レクターというメインキャラクターがいて、あとはみんな脇役という感じだった。ああ、そうそう。ヴァージャーはあの口元の感じからして、絶対ゲイリー・オールドマンに違いない!と思っていたら、やはりそうだった。相変わらずこういうセコイ悪役がよく似合う。
だが、やはりこの映画の見どころは、クライマックスの「最後の晩餐」のシーンだ。映画館で初めて、少なからぬ観客が「ウワッ」と声を出して引くのを見た(ちゅうか、「聞いた」だな)。かなり痛い系。見ようによっては笑っちゃうシーンなのだが、ここまでの緊迫感から、なかなか笑って見られない。笑える人は、相当冷めた人ではないだろうか。とにかく痛いです。そして胃液逆流。このシーンだけで、ハンニバル・レクターの異常度が初めて分かるというもの。夢に見そう。しばらく白子は食えないな。豆腐もキツイかも。このシーンの前の、豚のシーンも痛い系なのだろうが、こちらは「見えない」ので、もっと音響で盛り上げるなりしてほしかった。まあ、あそこで消化不良だった分だけ、最後の晩餐で楽しんで下さいということなんだろうけどね。
エンディングは原作とは大きく違うらしい。個人的にはこれでまずまず満足。贅沢を言うなら、やはり・・・ね。逆の方が。これ以上書くと、まだ見ていない人が楽しめなくなるので、やめとく。なんつ〜か、最後の晩餐シーンを見るだけのような映画・・・そんな感じがするが、気のせいか。うーん。どうだろう。
映像と音響は認めるが、ストーリー展開の衝撃度に不満アリ。レクター博士だけが大活躍するのもなんか腑におちない。エンディングもまずまず満足と書いたが、完全に満足したわけではない。もうひと押し、ほしかった。だから2押忍。ゲロ突きで。
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